小林エリカの文房具トラベラー
小林エリカの文房具トラベラー vol.22「ペン」&STATIONERY / January 11, 2022
![小林エリカ 文房具トラベラー 小林エリカ 文房具トラベラー](https://img.andpremium.jp/2020/04/27184043/travel_stationary201405_01-1024x395.jpg)
![小林エリカ 文房具 トラベラー イラスト ペン 小林エリカ 文房具 トラベラー イラスト ペン](https://img.andpremium.jp/2021/11/09192313/pen01-1024x318.jpg)
ペンはペンでも私が最も愛用しているのはインク壺につけて使うタイプのGペンである。若かりし日に漫画家、竹宮惠子先生の『竹宮惠子のマンガ教室』を読んで、衝撃を受けた私は、すぐさまGペン、丸ペンなど一通り買い揃えたのがはじまりであった。かの本には優秀なアシスタントとは灰皿と言えば金属か陶器かを描き分けられるとあってその神業に私は軽く倒れそうになったのであるが、それはさておいても、マンガは、ペンは、いと楽し。Gペンに於いては、力の強弱で線の太さが変わる様や、インクのハネや滲みすら、私は一々感動を覚えずにはいられない。私が特に好きなのは、紙に突っかかった時にできる飛沫(マニアック)と途中で落ちたインク染み。
結局、水性ペンや何やらを使ってみても、私は必ずインク壺のあるところへ帰ってきてしまう。持ち運びという点においては確かに不便なところもあるが、それをもはるかに凌駕する素晴らしき世界と線がそこにはある。ところでインク壺にもペン先のブランドにも一家言あるのであるが、まあ今回のところはペンに言及するに留めたい。
![左/イタリア〈ルビナート〉のガラスペンの可憐さは見ているだけでもうっとり。中/〈タチカワ〉の丸ペンは細かいものを描くときに。右/Gペンの軸はドイツ〈スタビロ〉の軸を色違いで揃えてインクによって使い分け。 左/イタリア〈ルビナート〉のガラスペンの可憐さは見ているだけでもうっとり。中/〈タチカワ〉の丸ペンは細かいものを描くときに。右/Gペンの軸はドイツ〈スタビロ〉の軸を色違いで揃えてインクによって使い分け。](https://img.andpremium.jp/2021/11/09192332/pen02-1024x682.jpg)
edit : Kisae Nomura
※この記事は、No.23 2015年 11月号「&STATIONERY」に掲載されたものです。
作家・マンガ家 小林 エリカ
![](https://img.andpremium.jp/2019/09/30181038/kobayashierika-300x300.jpg)
シャーロック・ホームズ翻訳家の父と練馬区ヴィクトリア町育ちの四姉妹を描いた『最後の挨拶 His Last Bow』(講談社)発売中。2021年夏、はじめての絵本『わたしは しなない おんなのこ』(岩崎書店)が発売。