台湾スイーツ食べ比べ

後を引くおいしさ! 昔ながらの手作りアイス。【&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ 】November 13, 2023

冰淇淋
  誰もが懐かしさを覚えるレトロなアイス。フルーツなどの天然素材を使用し、香料や色素、防腐剤などは一切用いていないのが特色だ。台湾はフルーツの種類が豊富な上に、値段も手頃なのが強みとなっている。今回紹介するのは70年以上の歴史をもつ2軒。一軒は中山堂の斜め向かいに位置する『雪王冰淇淋』。他にはない変わり種のアイスが多数揃い、その豊かな発想力に驚かされる。もう一軒は新北市永和區にある『和美冰果室』。台北市の中心部からはやや離れているが、ぜひとも訪れたい店。近くにある樂華夜市にも寄り道しながら楽しみたいところだ。どちらも現在は3代目が切り盛りし、初代の作り方を守りながら、甘さは控えめにするなど、現代人の好みに合わせて改良を重ねている。
懐かしの台湾アイス<i>&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ</i>

フルーツからトンソクまで! 種類の多さに驚き。

 台北っ子ならば誰もが知る名店。創業者の高日星さんは戦後の貧しい時期にアイスを買うことができず、「ならば自分で作ってみよう」と始めたのが創業の契機となった。日本で作り方を学んだ後、屋台を引いて売っていたが、1982年に現在の建物1階に店を構えた(現在は2階に移転)。看板には73種類とあるが、これまでに開発してきたのは実に400種類以上に及ぶ。「食べ物ならば何でもアイスにできます」という言葉は大袈裟ではなく、トンソクや肉でんぶ、カレー、唐辛子、さらにはアルコール度数58%の金門高粱酒を用いたものもある。常時50種類を扱い、季節によってメニューは変わる。写真はタロイモ味、桑の実味、桃味、ジャスミン茶味、そして、珍しい九層塔(台湾バジル)味。

雪王冰淇淋
シュエワンピンチーリン

台北市中正區武昌街一段65號2F ☎02−2331−8415 12:00~20:00(19:30LO) 無休(11~2月は火休) 台湾バジル味、桑の実味105元など。

雪王冰淇淋シュエワンピンチーリン
懐かしの台湾アイス<i>&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ</i>

濃厚な味わいが評判! 地元客で溢れる人気店。

  かつて台湾にはラッパを鳴らしながら売りに来る三輪自転車のアイス屋台が存在した。この屋台はラッパの音にちなんで「叭噗(パープー)」という愛称で親しまれた。彰化県和美出身の1代目もこのスタイルから商売を始めた。店では台湾産の素材を使用し、日月潭産の紅玉紅茶や拉拉山産の桃など、良質なものを厳選。また、フルーツを選ぶ際には甘さや見た目ではなく、香りを重視しているという。たとえばマンゴー味は台農1號、グァバ味は香水芭樂といった香りが強めの品種を使用。こうしてできたアイスはどれも素材そのものの風味を楽しめる。メニューは毎日変わるが、20数種が揃う。写真はアボカドミルク味、桃味、パイナップル味、マンゴー味、ピーナッツ味、海塩レモン味。

和美冰果室
フーメイピングオスー

新北市永和區秀朗路一段44號 ☎02−2926−1552 10:00~21:00 月休 1玉25元、2玉45元、3玉60元。フルーツは季節によって変わる。

和美冰果室フーメイピングオスー

文/片倉真理 
※この記事は、No. 120 2023年12月号「&Taipei」に掲載されたものです。


台北在住ライター・コーディネーター 片倉真理

1999年から台北に暮らす。台湾に関する書籍の執筆、製作のほか、雑誌のコーディネートなども手がける。台湾各地を隈なく歩き、料理やスイーツから文化、風俗、歴史まで幅広く取材。著書に『台湾探見』、共著に『台湾旅人地図帳』(共にウェッジ)、『食べる指差し会話帳』(情報センター出版局)など。

instagram.com/marikatakura

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