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土井光さんが提案する、 朝の自由なお味噌汁。May 25, 2023

2023年4月20日発売の特集「朝を楽しむための28のこと」。陽射しを浴びたり、深呼吸したり、散歩したり、ゆったりと朝食をとったり……。さまざまな視点から、朝を楽しむための28のことを特集しています。ここでは、料理家の土井 光さんが聞いた、一日のはじまりに体を温め、調子を整える、自由なお味噌汁のレシピを紹介します。

土井光さんが提案する、 朝の自由なお味噌汁。
半熟卵がとろける、落とし卵と菜の花のお味噌汁。冷蔵庫にある具材を入れて、お気に入りのお椀で。「その日の気分に合わせて旬の食材も取り入れながら、はじまりのお味噌汁を」

一日のはじまりに飲むことで、体を温め、調子を整える。

 フランスで7年の料理経験を積み、帰国して日本人の食卓に欠かせないお味噌汁の万能性に気づいたという料理家の土井光さん。「一汁一菜」を提案する料理研究家の土井善晴さんを父に持ち、
一昨年、初の共著『お味噌知る。』を上梓した。

「味噌は、昔ながらの知恵が詰まった身近な発酵食品。白湯と同じように朝、お味噌汁を作って飲むことで、お腹が温まり、胃腸によい働きも期待できます。お湯に少し味噌を溶いただけでも十分ですが、冷蔵庫にあるものを加えれば、立派な朝ごはんにもなります。起きたときの自分の食欲や体調に合わせて、入れる具材やボリュームを好きなようにコントロールできるので、朝ごはんとして最適な選択肢の一つだと思います」

 食欲のない朝はさっぱりとした具材でシンプルに。お腹がすいていればそうめんを入れたり、米やパンと一緒に食べるのもいい。自分を整えるためのお味噌汁だから、忙しい朝に手軽にさっと作れて、毎日続けられることが大切だという。

「お椀1杯の水に、出汁となる煮干しや昆布、好きな具材を一緒に入れて、火が通ったところで味噌を溶く。基本はたったそれだけです。煮干しや昆布もそのまま食べられるので手間がかかりません。味噌は熟成期間が1~2年と長く、微生物がよく働いたものを選ぶのがポイント。どんな具材にも合わせやすい赤味噌がオススメですが、これでなければならないというのはありません。自分の好みに合うものを選ぶのが一番です」

 入れる具材に関しても「基本的にルールはない」と光さん。豆腐やワカメといったお決まりの具材にとらわれないレシピを教えてくれた。

「具材を何にしようと悩んでしまうかもしれませんが、冷蔵庫に残っている、昨日の夜ごはんの延長線でもいいんです。何もなければ卵を溶いて胡椒をかけてもいいし、オリーブオイルを垂らすだけでもおいしくいただける。組み合わせや分量は、毎日作るうちに感覚的にわかってきますよ。あまりこだわりすぎず自由に、お味噌汁を料理の基本として、楽しみながら生活に取り入れてください」

覚えておきたい、お味噌汁の基本。

1. 水の量はお椀で量る。
作りたい量の分だけ、お椀に水を入れて量る。こうすることで過不足なく1 椀分ちょうどのお味噌汁ができる。「毎日同じお椀を使えば、味噌の量も感覚的にわかるようになります」
1. 水の量はお椀で量る。
作りたい量の分だけ、お椀に水を入れて量る。こうすることで過不足なく1 椀分ちょうどのお味噌汁ができる。「毎日同じお椀を使えば、味噌の量も感覚的にわかるようになります」
2. 出汁には煮干しと昆布を。
「1椀分につき、昆布は2㎝分くらい、煮干し2~3尾を目安に入れますが、自分好みの量を」。そのまま具として食べられるよう、おいしい昆布や煮干しを選ぶのがポイント。
2. 出汁には煮干しと昆布を。
「1椀分につき、昆布は2㎝分くらい、煮干し2~3尾を目安に入れますが、自分好みの量を」。そのまま具として食べられるよう、おいしい昆布や煮干しを選ぶのがポイント。
3. 昆布を切り入れ、火にかける。
昆布はハサミで小さく切ると出汁が出やすい。「基本は煮干しと昆布を先に入れて中火にかけますが、出汁が出る具材が少ない場合、最初から具も一緒に入れるなど臨機応変に」
3. 昆布を切り入れ、火にかける。
昆布はハサミで小さく切ると出汁が出やすい。「基本は煮干しと昆布を先に入れて中火にかけますが、出汁が出る具材が少ない場合、最初から具も一緒に入れるなど臨機応変に」
4. 具材もお椀に1 杯分を用意。
具材もすべてお椀に入れて分量を確認するとわかりやすい。「火が通りにくい食材は出汁と同時に入れ、火が通りやすい葉ものは最後にするなど、入れるタイミングは具に合わせて」
4. 具材もお椀に1 杯分を用意。
具材もすべてお椀に入れて分量を確認するとわかりやすい。「火が通りにくい食材は出汁と同時に入れ、火が通りやすい葉ものは最後にするなど、入れるタイミングは具に合わせて」
5. 味噌は大さじ1 強を目安に。
お椀1 杯分につき、大さじ1 強の味噌を。「使う味噌はお好みで。私は赤味噌を使っていますが、その時々で白味噌や麦味噌など違う種類の味噌を足し、味の変化を楽しんでいます」
5. 味噌は大さじ1 強を目安に。
お椀1 杯分につき、大さじ1 強の味噌を。「使う味噌はお好みで。私は赤味噌を使っていますが、その時々で白味噌や麦味噌など違う種類の味噌を足し、味の変化を楽しんでいます」
6. 味噌をしっかりと溶かす。
具材に火が通ったら、味噌をおたまの上でやさしく混ぜるようにして溶かしていく。「味見しながら味噌の量を調整していきます。塩分が多い具の場合は、味噌を減らすといいですよ」
6. 味噌をしっかりと溶かす。
具材に火が通ったら、味噌をおたまの上でやさしく混ぜるようにして溶かしていく。「味見しながら味噌の量を調整していきます。塩分が多い具の場合は、味噌を減らすといいですよ」

自由な発想で楽しむ、朝のお味噌汁のレシピ。

土井光さんが提案する、 朝の自由なお味噌汁。

落とし卵と菜の花のお味噌汁

まろやかな卵の甘味に、菜の花の苦味としらすが味のアクセントに。「ポイントは卵と菜の花の火入れ。菜の花は火が通りやすいので最後に入れ、ひと煮立ちですぐに火を止めます」

【材料(1人分)】
水…お椀1杯分  煮干し…1~2尾  昆布…適量  味噌…大さじ1強  卵… 1個  菜の花…適量  しらす…適量

【作り方】
1.鍋に水、煮干し、ハサミで小さく切った昆布を入れ、中火にかける。

2.煮立ったら、味噌を溶く。

3.小鉢に割った卵を、ゆっくりと落とし入れる。

4.ゆっくりと半熟程度になるまで火を入れる。

5.刻んだ菜の花を入れ、ひと煮立ちしたら卵を崩さないようにお椀へよそう。

6.仕上げにしらすをひとつまみ添える。

土井光さんが提案する、 朝の自由なお味噌汁。

トマト、ソーセージ、 チーズの洋風お味噌汁

トマトの酸味が味噌と溶け合い、まるでミネストローネのような一杯。「トマトは柔らかくなるまでしっかり煮ること。チーズは、コンテやモッツァレラなどをお好みで」

【材料(1人分)】
水…お椀1杯分  昆布…適量  トマト…中1個  ソーセージ… 2本  味噌…大さじ1強  パセリ…適量  カマンベールチーズ…適量

【作り方】
1.鍋に水を入れる。

2.ハサミで小さく切った昆布、食べやすい大きさに切ったトマト、ソーセージを鍋に入れ、中火にかける。

3.具材に火が通ったら、味噌を溶き入れる。

4.手で小さくちぎったパセリを入れる。パセリにさっと火が通ったら、お椀によそう。

5.一口大に切ったカマンベールチーズを味噌汁に添える。

土井光さんが提案する、 朝の自由なお味噌汁。

もやしとえごまのお味噌汁

仕上げに、ごま油を回しかけてコクを出すことで中華風に。「もやしは別の鍋で茹でることで臭みを取ります。水っぽい具材は昆布を多めにしたり、味の濃い味噌を加えても」

【材料(1人分)】
水…お椀1杯分  煮干し… 1~2尾  昆布…適量 味噌…大さじ1強  もやし…ひとつかみ  えごま…適量  ごま油…適量  胡椒…適量

【作り方】
1.鍋に水、煮干し、ハサミで小さく切った昆布を入れ、中火にかける。

2.煮立ったら分量より少し多めの味噌を溶き、味噌汁を作る。

3.別の鍋に湯を沸かし、もやしをさっと下茹でし、ザルにあげる。

4.えごまの葉を千切りにする。

5.2にもやし、えごまを入れ、具が温まったら、お椀によそう。

6.仕上げに、ごま油をかけ、胡椒をふる。

土井光さんが提案する、 朝の自由なお味噌汁。

おろし生姜と卵、 そうめんのお味噌汁

生姜が効いたさっぱり味噌汁に、そうめんを入れることでお腹も満足。「そうめんは塩気があるので、味噌は味を見ながら少なめに。卵を最後に入れると、綺麗に仕上がります」

【材料(1人分)】

生姜… 1かけ  卵… 1個  水…お椀1杯分  煮干し… 1~2尾  昆布…適量  そうめん…1/2束  味噌…小さじ1  

【作り方】
1.生姜をすりおろし、溶き卵を用意しておく。

2.鍋に水、煮干し、ハサミで小さく切った昆布を入れ、中火にかける。

3.沸騰したら、そうめんを半分に割り入れる。

4.おろし生姜を加える。

5.味噌を溶く。そうめんの塩分に気をつけて、味を見ながら、味噌の量を調整する。

6.溶き卵を流し入れ、火が通ったら、お椀によそう。

PROFILE

土井 光 Hikaru Doi 料理家

フランスの三つ星レストラン、ショコラティエでの経験後、2018年より料理研究家である父・土井善晴の〈おいしいもの研究所〉に所属。北海道「北斗文化学園インターナショナル調理技術専門学校」特任教授。

土井 光

photo : Tetsuya Ito text : Asuka Ochi

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