長田佳子の季節のハーブを愉しむお菓子。

クリスマスにぴったりの「レモンマートルといちじくのレアチーズケーキ」 長田佳子の季節のハーブを愉しむお菓子 vol.21 December 18, 2021

自然からのいただきものであるハーブの力を取り入れて、心と体に優しく寄り添う「レメディ」のようなお菓子を作る〈foodremedies〉として活動する菓子研究家の長田佳子さん。砂糖にはない甘さやほのかに感じる苦味、鼻をくすぐるいい香り——。ハーブはそのときの心と体の状態によって、五感で感じ取るものが繊細に変化する奥深さを秘めた暮らしに役立つ植物です。そんな季節のハーブを使った長田さんオリジナルのお菓子のレシピを紹介するこの連載。第21回は「レモンマートルといちじくのレアチーズケーキ」をお届けします。

This Month's Herbal Sweets

「レモンマートルといちじくのレアチーズケーキ」

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クリスマスタイムのデザートにもぴったりな、大人のレアチーズケーキ。

今年も残りわずか。一年の終わりには、頑張った自分のために、そして大切な人に「ありがとう」を伝えるために、ちょっとしたケーキを作ってみるのはいかがでしょう。ふだん、ケーキを作ったことがない人でも簡単に作れるのが、定番おやつのレアチーズケーキ。ワインを嗜む人の口に合うような味をイメージして、砂糖を使わずに作ったのが「レモンマートルといちじくのレアチーズケーキ」です。クリームチーズを使うことでまろやかでコクのある味に導くことができます。程よい酸味、口の中に優しく残る松の実といちじくの甘さ、そして、レモンマートルのレモンのような爽やかな香りに心くすぐられるはず(より香りを濃厚に感じたい方はレモンマートルを3枝くらい使ってみても)。もう少し甘さが欲しい人は、ハチミツをかけてみてもおいしくいただけます。

小さなラウンド型のフォルムが可愛らしいケーキは“大人のクリスマスナイト”を愉しみたい日にもぴったり。熟したいちじくの綺麗な赤が華やかな気分を盛り上げてくれます。BGMとして、聖歌隊の子どもたちが歌うクリスマスソングや第九といったスタンダードナンバー、今年のお気に入りソングをまとめたプレイリストを作ってみるのもいいかもしれません。ふだんやらないような、ちょっぴり演出めいた遊びも、このシーズンならではのお楽しみ。たまには思いっきりロマンチックな時間を過ごすことは、大人にこそ、必要です。ぜひ、このホリデーシーズンに心と体に優しいチーズケーキを味わってみてください。

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レモンマートル フトモモ科バクホウシア属の常緑性の樹木。オーストラリアの先住民・アボリジニは、レモンマートルの葉を料理に活用したり、薬代わりにお茶にしたりしていたそう。レモンのような強い芳香が特徴で香りの成分「シトラール」がレモンの20倍ほど含まれており、“レモンハーブの女王”と呼ばれることも。爽やかな香りによるリラックス作用、抗菌作用や抗酸化作用が期待できます。

レシピ ホール1個分

・生クリーム(40%以上)100ml
・フレッシュレモンマートルの葉 1枝程度 
※香りを強めにつけたい方は3枝程度に。
・粉ゼラチン 3g
・ヨーグルト 100g
・クリームチーズ 40g
・松の実 適量
・いちじく 小2個 
・粉チーズ 適量

[下準備]
いちじくの皮をむく。クリームチーズを常温に戻しやわらかくしておく。
松の実はフライパンで軽く炒っておく。

How to cook

1.鍋に生クリームを入れ、レモンマートルをちぎりながら入れて中弱火にかける。
1.鍋に生クリームを入れ、レモンマートルをちぎりながら入れて中弱火にかける。
2.沸騰したら火から下ろし、粉ゼラチンを加え泡立て器でよく混ぜる。
2.沸騰したら火から下ろし、粉ゼラチンを加え泡立て器でよく混ぜる。
3.ボウルにクリームチーズを入れ、ゴムベラでほぐし、ヨーグルトも合わせて混ぜる。
3.ボウルにクリームチーズを入れ、ゴムベラでほぐし、ヨーグルトも合わせて混ぜる。
4. 「2」を網で漉しながら「3」に加え混ぜ合わせる。
4. 「2」を網で漉しながら「3」に加え混ぜ合わせる。
5.型に流し冷蔵庫で30分冷やし、固まったら表面にカットしたいちじくを並べる。最後に松の実と粉チーズを散らす。
5.型に流し冷蔵庫で30分冷やし、固まったら表面にカットしたいちじくを並べる。最後に松の実と粉チーズを散らす。
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photo:Hiroko Matsubara edit & text:Seika Yajima
ハーブ:まるふく農園 キッチンクロス提供:FLUFFY AND TENDERLY
器:金森正起 、田中直純


菓子研究家 長田 佳子

レストラン、パティスリーなどでの修業を経て、YAECAフード部門「PLAIN BAKERY」でメニュー開発、お菓子の製造を担う。2015年に独立。〈foodremedies〉という屋号でハーブやスパイスなどを使ったまるでアロマが広がるような、体に素直に響くお菓子を研究している。著書に『季節を味わう癒しのお菓子』(扶桑社)、『全粒粉が香る軽やかなお菓子』(文化出版局)などがある。2021年7月より登録制による動画配信のお菓子教室を開催。

foodremedies.jp

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