シンガー・ソングライター 中山うりさんが選ぶ土曜の朝と日曜の夜の音楽。vol.2November 08, 2024

埼玉の実家から東京に移り住んで何年も経つ。引っ越しは内見もせずに決めた。物が少なかったので引っ越し作業はあっという間に終わり、やけに音が響くガランとした部屋でポツンとしてたらこの曲が流れて泣いたのを覚えてる。
イントロのピアノが「しょうがないよ…」って諭す感じで始まり、そのあとは私だけに聴こえるように語りかけてくる。彼女は何かのインタビューで自分の声は頼りないから私にはピアノが必要、みたいな事を話していた。こんなに強くて個性的な声、他にいないじゃないか！ と思ったけど確かにこの枯れ切ったピアノ無くしては、ニーナシモンは完成しないのかもしれない。
夜は冷えるようになってきた今日この頃、細かなビブラートの尻尾や舌先も見えるようなニーナシモンを近くに感じられる優しい一曲で眠ろう。
アルバム『Little Girl Blue (Remastered)』収録。