INTERIOR 部屋を整えて、心地よく住まうために。

古い団地をリノベーションして理想の空間に。ユニークな仕掛けが詰まった、本棚とボックス家具。April 19, 2026

絵本の中の世界を、機能的にデザイン。

川端麻里子さんが娘と暮らす、間仕切り壁がない一室空間。「壁一面の本棚を作りたい」という希望が、家づくりのはじまり。
川端麻里子さんが娘と暮らす、間仕切り壁がない一室空間。「壁一面の本棚を作りたい」という希望が、家づくりのはじまり。
「スリーピングボックス」という名の多機能ボックス。長辺にデスクを置き、仕事場に。
「スリーピングボックス」という名の多機能ボックス。長辺にデスクを置き、仕事場に。

 広い敷地に建てられた東京郊外にある古い団地。ある一室の扉を開けると、「物語」を愛する人のアイデンティティを感じる、創意溢れる空間が広がっていた。家主は編集者の川端麻里子さん。娘と猫3匹との暮らしだという。丸ごとリノベーションした空間には、印象的な〝ユニークな仕掛け〞が2つある。

 ひとつは壁一面の本棚。玄関から右が母の棚、左は娘の棚という区分でその真ん中に、うさぎが眠る、ファンタジックな緑の部屋が描かれた可動式の壁が配置されている。

「マーガレット・ワイズ・ブラウン作の『おやすみなさい おつきさま』という絵本が昔から大好きで。友人にすまあみというウォールペインターがいて、彼女と私、それぞれの子どもたちと作中のあるシーンを模して描きました」

 棚全体の寸法は、床のグリッドを基準にデザインされていて、空間に心地よい統一感を生み出している。もうひとつの仕掛けは、中央に鎮座する「スリーピングボックス」だ。
「寝床以外に、ベンチ、靴箱、収納、猫の通り道などいろいろな機能を取り込んだ箱を作ってもらいました」

 着想のきっかけを尋ねると、「『ドラえもん』ですかね」と微笑みながら語ってくれた。

「子どもの頃押し入れで寝るのに憧れてました。下が私のスペースなのですが、このおこもり感が心地よいんです。家のプランニングをしていたときは、娘は小学3年生。彼女は『自分の部屋はいらない』と言っていたけど、成長したら絶対、自分の部屋は欲しくなるだろう、と。とても小さなスペースですが、せめて2段ベッドにして個別の空間を作ってあげようと思ったわけです」

 ボックス家具は、スウェーデンの暮らしに根付いている。

「暖かく過ごすために、あえて部屋を狭くして寝床と収納などマルチな機能を兼ね備えたボックスを利用するそうで。娘は『冬は暖かい』と言って、この空間がお気に入りです」

リノベーションは建築家の大井裕介さん、中坪多恵子さんに依頼。団地ならではの真四角の鉄筋コンクリート構造の空間を生かし、〝グリッドデザイン〞を効かせた。
リノベーションは建築家の大井裕介さん、中坪多恵子さんに依頼。団地ならではの真四角の鉄筋コンクリート構造の空間を生かし、〝グリッドデザイン〞を効かせた。
キッチン&ダイニングは、風が通りやすいように仕切り壁のないラフな空間に。「大きなテーブルは必要なくて、バーカウンターのようにしたかったんです」
キッチン&ダイニングは、風が通りやすいように仕切り壁のないラフな空間に。「大きなテーブルは必要なくて、バーカウンターのようにしたかったんです」
本棚の右端の一部に冷蔵庫や日用品を収納。「木材が多くなりすぎないように壁にステンレススチールの食器棚を設え、見せながら整理しました」
本棚の右端の一部に冷蔵庫や日用品を収納。「木材が多くなりすぎないように壁にステンレススチールの食器棚を設え、見せながら整理しました」
築50年ほどの3DKの空間を壊し、ワンルームに。柱はそのまま残し「スリーピングボックス」と一体化したつくりにした。
築50年ほどの3DKの空間を壊し、ワンルームに。柱はそのまま残し「スリーピングボックス」と一体化したつくりにした。
川端麻里子 編集者

川端麻里子編集者

翻訳ノンフィクションの書籍編集者。環境、生物、性、科学など多様なテーマに取り組む。リサイクルやリユースを心がけた生活を楽しんでいる。

photo : Shinsaku Kato edit & text : Seika Yajima

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