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どんな花も受けとめる、色のある器。『緑の居場所デザイン』主宰・市村美佳子さんに学ぶ、花と器の組み合わせ。May 18, 2026

花を生けるときの悩みのひとつが、どんな器を選んだらよいかわからない、ということ。そこで、センスのいいフローリスト4人に花と器の組み合わせを教えてもらった。&Premium150号(2026年6月号)「 花と緑のある暮らし。」より、『緑の居場所デザイン』主宰・市村美佳子さんの花と器の組み合わせを紹介します。

ラナンキュラス、キルタンサスー薄いピンクの花瓶

ラナンキュラス、キルタンサス 薄いピンクの花瓶

ベビーピンクの器には、同じような淡い色の3種類のラナンキュラスと小さなピンクの花が愛らしいキルタンサスで、淡色のグラデーションをつくった。「同じイメージでまとめてもいいし、反対に紫や赤など強い色を合わせてもハッと目を引くしつらえになります」

ダリア、ラナンキュラスー水色の花瓶

ダリア、ラナンキュラス 水色の花瓶

フィンランドで見つけたヴィンテージのピッチャー形。ガラス製の澄んだ水色の花瓶には、色の濃いダリアとラナンキュラスを。「透明感のあるペールトーンの水色に、ダークで強い色のダリアとのコントラストによって、印象的なアレンジに仕上がっています」

ラナンキュラス、フロックスー赤色の花瓶

ラナンキュラス、フロックス 赤色の花瓶

赤色が鮮やかな昭和のガラスピッチャー。ここには黄色いラナンキュラスとピンクのフロックスを組み合わせた。同じ花でも花器によって異なる表情を見せるのがわかる。「黄色一色でもいいのですが、ピンクを添えてニュアンスをプラスしました」

パンジー ーオレンジ色の花瓶

パンジー  オレンジ色の花瓶

イギリスのアンティーク市場で見つけた大きなオレンジの花器。紫のパンジーが強いインパクトを与える。「大きい花瓶に大きい花を入れるとバランスが取れすぎちゃうので、花の分量は器に対して少なく。すると、1種類でも動きが出て楽しい感じになります」

ヤツデ、トケイソウなどーブルーの花瓶

ヤツデ、トケイソウなど ブルーの花瓶

フィンランドから持ち帰ったヴィンテージの器に、ヤツデの実とトケイソウ、センニンソウを合わせた。「いろいろな形のグリーンを合わせると形のコントラストがついて、グリーン一色でも全体として動きが感じられるアレンジになります」

バランスにこだわらず、花瓶の持つ力を味方につける。

「花瓶を選ぶとき、クリアなガラスなど無難なものを選びがちだと思うんです。でも、実はそれだと花だけで表情をつくらないといけないので、逆に難しくなってしまいます」と、市村美佳子さん。すすめるのは、力強い個性を持った器。今回は、ピンクやブルー、オレンジなど色のある花瓶でのバリエーションを教えてくれた。

「お洋服と一緒で、例えば赤のマフラーって差し色にもなって、すごく便利じゃないですか。そういうふうにコーディネートする感覚で花を選ぶとまとまりやすいと思います。また、淡い色に淡い花色を合わせたり、淡い色と濃い色でコントラストをつけたりと、一つの花瓶でもさまざまな表情をつくることができます。今回の5パターンの組み合わせも、花瓶と花を入れ替えても成立する。器がちゃんと仕事をしてくれるんです」

 さらに、花瓶に対する茎の長さをどうするかなど、ついバランスを考えてしまいがちだが、これも市村さんによると「バランスが取れれば取れるほど静かになってしまう。例えば小さい花瓶に茎を長くして生けたり、ボリュームをつけたりなど、アンバランスにするほうが動きが出て、生き生きして見えます」とのこと。
 
 色のある器の力を借りて、型にとらわれずに生ける。家で花を楽しむときの、もっとも気軽に取り入れられるテクニックだといえそうだ。

市村美佳子『緑の居場所デザイン』主宰

いちむら・みかこ 大学卒業後〈ロイヤル コペンハーゲン〉に入社し、店内の花装飾をきっかけに渡英。フラワーアレンジメントを学び、1994年に独立。2016年に屋号を「緑の居場所デザイン」と改称。大きな花装飾から一枝の花まで、植物がそばにある環境をデザインすることをテーマに活動。店舗装飾や雑誌・広告の他、花教室も主宰。▷東京都港区南青山6‒1‒6 ☎03‒3406‒9883 教室の詳細はHP(midorinoibasho.jp)で確認を。

photo : Ryuichi Adachi edit & text : Wakako Miyake

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