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『村上朝日堂 はいほー』村上春樹(新潮文庫)Book 21 / April 29, 2016

This Month Themeいい店に出合える本。

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平成元年に単行本が発売された、昭和の終わり頃の春樹さんの身辺雑記。「うさぎ亭」という定食屋のコロッケを、愛情たっぷりに綴る「うさぎ亭主人」は、読む人のコロッケ観を一変させるインパクトがある。ご主人の佇まい、脇を固めるせんぎりキャベツにしじみの味噌汁、付け合せはスパゲティーの酢味噌和え、これらの描写がまた事細かで、“思わず大地に頬ずりしたくなるようなにおいたつじゃがいもと、牛肉以外にはなにも入っていない”というコロッケの魅力がさらに際立つ。「うさぎ亭」はどこにあるのか?初出から約30年、検索でたいていのことはわかる時代になったいまも尚、幻想に包まれた夢のコロッケ定食。ある意味贅沢な探しものである。


Kita Shoten 北書店

2010年4月、新潟市中央区に開店。北書店の「北」は、店主がかつて在籍した同市の老舗書店「北光社」に由来する。この春で開店6周年、店主の書店歴は今年で通算20年。▷新潟県新潟市中央区医学町通2-10-1 1F

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