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選・文 / まわりみち文庫 / March 17, 2022 本屋が届けるベターライフブックス。『愉快のしるし』永井宏 著(信陽堂)

This Month Theme喫茶店で読みたい本。

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「喫茶店で読みたい本」ということで文庫や新書サイズに統一したかった。けど、単行本サイズの本書もおすすめしたい。
前回紹介した『柿の種』の魅力が戦前らしい味わい深さだとすれば、『愉快のしるし』は現代らしい味わいがある。この本に収められた数々の短文は、神奈川県葉山町にある『SUNSHINE + CLOUD』というショップが発行する通販カタログの商品写真に添えられたキャプション。その文体は形式的な商品説明ではなく、まるで日記やエッセイのようだ。
著者である故・永井宏の文章は貫徹されたライフスタイルを感じさせるけど、気取らず自然体な筆致は読んでいて心地良い。


選・文 / まわりみち文庫 / March 10, 2022 本屋が届けるベターライフブックス。『柿の種』寺田寅彦 著 (岩波文庫)

This Month Theme喫茶店で読みたい本。

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寺田寅彦(1878~1935年)は物理学者だが情緒的な随筆を多く残しており、現在も読み継がれている随筆家の1人。序文において「なるべく心の忙しくない、ゆっくりした余裕のある時に、一節ずつ間を置いて読んでもらいたい」と記されているこの本は、俳句雑誌に寄せた短文を集めた随筆集である。詩情あふれる短い文章には、著者の心情や戦前の日本の風景を想像しながら読む味わい深さがある。それは物理学者としての理性と俳人としての感性、2つの性質から生まれる深みなのかもしれない。
ちなみに著者は甘いものとコーヒーが大好物だったそうだ。そういう点でも寺田寅彦の著作は喫茶店が似合うのではないだろうか。


選・文 / まわりみち文庫 / March 03, 2022 本屋が届けるベターライフブックス。『ハモニカ文庫と詩の漫画』山川直人 著(ちくま文庫)

This Month Theme喫茶店で読みたい本。

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漫画家・山川直人の作品集。作者が描くキャラクターは一見コミカル。けれども、冒頭の『木馬は廻る』のように悲劇的な物語でも全く違和感がない。喜劇はもちろんミステリアスで幻想的な物語にもマッチする。そしてこの作者のマンガに一貫しているのはレトロな雰囲気だ。ページの大半を占める連作マンガ『ハモニカ文庫』は、架空の街・羽守町を舞台にした群像劇。時代は明らかに平成だけど、その街並みは昭和チック。さらには、描かれる恋愛模様までどこか懐かしさを感じる(笑)。そんなレトロ感漂うマンガはやっぱり喫茶店で読みたい。


選・文 / まわりみち文庫 / February 24, 2022 本屋が届けるベターライフブックス。『喫茶店で松本隆さんから聞いたこと』山下賢二 著(夏葉社)

This Month Theme喫茶店で読みたい本。

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喫茶店は誰かと会話するのにもってこいの場所。作詞家の松本隆さんが喫茶店で語るのは人生の境地。といってもその内容はミュージシャンとしての経歴に偏ることはなく、私たちの人生や生活に関連するとても普遍的なことが中心だ。この本を読んでいると、まるで松本さんと喫茶店で対話しながら助言を受けているような気分になる。
「論破」という言葉について「理論で負かしても無駄なの」と話す松本さんの言葉には押しつけがましさはないが、じんわりと心に染みわたる透徹さがある。


BOOKSHOP まわりみち文庫

青森県弘前市にある新刊と古本を扱う本屋。店名には〝検索〞による近道だけでなく、散歩して〝まわり道〞を楽しむように本に触れて欲しい、という願いを込めた。
住所:青森県弘前市新鍛冶町9-5
営業時間:13:00~21:00
定休日:木曜

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