台湾スイーツ食べ比べ
落雁や練り切りのような伝統的中華菓子。【&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ 】October 16, 2023
ベーカリーが生み出した創作緑豆糕。
パンや洋菓子を扱う『一之軒』。ここで隠れた人気を誇るのが「緑豆冰糕」だ。2代目オーナーの廖珮綺さんによれば、ここでは緑豆の皮を取り除いた中身の「仁」を低温で処理し、爽やかな風味を作り出している。豆ぐささは一切感じられず、口の中でふわっと溶けていくような食感がたまらない。餡にはトレハロースを使用し、甘さは控えめ。小豆餡のほか、ほうじ茶餡やタロイモ餡がある。これらは8個入りのほか、2個入りもあるので、気軽に試せるのが嬉しい。新作は梅の花の形をした梅味で、程よい甘酸っぱさがクセになる。冷蔵庫で1週間、冷凍庫では1か月間の保存が可能。台湾北部には30店舗あり、なかでも忠孝敦化店はヴィーガン向けベーカリーとして注目されている。
イーズーシュエン
台北市大安區敦化南路一段197號(忠孝敦化店) ☎02−2711−5001 7:30~22:00 土日10:00~21:00 無休 緑豆冰糕8個入り140元~。
フランス菓子の要素を取り入れた伝統菓子。
下町風情が色濃く残る大稲埕にある老舗。3代目の林士淵さんは東京の製菓学校で学んだ後に洋菓子の名店『ら・利す帆ん』で修業した経験をもつ。帰国後、祖先から受け継いだ味を現代風に改良し、白砂糖の代わりに、自家製フォンダン(洋菓子で用いられる砂糖と水を混ぜたもの)を使用している。また、花生糕と芝麻糕にはラードは用いず、ピーナッツ油やゴマ油を用い、蒸した小麦粉を混ぜ、軽くて歯触りの良い食感を作り出している。表面には長寿を意味する「寿」の字がかたどられており、寺廟の祭典時にはお供え物として用いられる。緑豆糕は親指第一関節ほどの大きさで、ホロッとした食感。こちらは6個一組で、紙に包む昔ながらのスタイル。今では希少な存在となっている。
ロンユエタンガオピンプー
台北市大同區延平北路二段169號 ☎02−2557−8767 8:00~20:30 土休 緑豆糕、花生糕、芝麻糕は各25元。賞味期限は約2週間。
文/片倉真理
※この記事は、No. 119 2023年11月号「&Taipei」に掲載されたものです。