台湾スイーツ食べ比べ

アイスキャンディでも楽しめる台湾フルーツ。【&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ 】September 19, 2022

「フルーツアイスキャンディ」
 濃厚な香りと味わいを誇る台湾のフルーツ。そのおいしさを手軽に味わえるのがアイスキャンディだ。今回紹介するのは2008年に創業し、台湾全土に200か所の販売拠点をもつ〈春一枝商行〉。様々な企業とのコラボにも熱心な人気ブランドだ。もう一軒は、若者たちの間で話題を集める〈冰公子〉。台南郊外にある老舗で修業した青年が手がけるブランドで、味の濃さが好評を博している。どちらも手作りにこだわり、防腐剤や香料、色素などの人工添加物は一切用いない。フルーツ自体の甘さを最大限に引き出し、後味をすっきりさせている。値段は一般的なアイスキャンディよりやや高めだが、フルーツの価格や製造工程の煩雑さを考えると、それだけの価値は十分にあると言える。
老舗の味を学んだ青年が創業したブランド。

老舗の味を学んだ青年が創業したブランド。

「日本のラーメンのような濃厚な味わいがウリです」と笑うのは創業者の林于農(リンユィノン)さん。商品は11種類で、マンゴーや桑の実、イチゴなどフルーツ味をメインとしている。聞けば、父親の故郷である台南郊外の山上(サンシャン)という街にある名店『阿燕姨冰枝店(アーイエンイーピンツーディエン)』で作り方を学んだという。「子どもの頃の味が懐かしく、それを再現したかったんです」という林さん。店主の下で修業を積み、素材の比率を綿密に記録し、データ化する作業も進めた。創業後は自ら車を運転し、台湾全土を営業して回っている。現在は各地の観光スポットを中心に販売している。「おいしさはもちろんですが、子どもたちが安心して食べられるものを作りたいですね」という林さん。誠実さも伝わってくるアイスキャンディだ。

冰公子
(ピンコンツ)

台北市大同區迪化街一段34‒1號(台灣物産) ☎02‒2552‒1853 10:00~18:30 無休 『好丘』(圓山店)や『天和鮮物』(華山旗艦店)などでも販売。

冰公子(ピンコンツ)
規格外の果物を利用したアイスキャンディ。

規格外の果物を利用したアイスキャンディ。

「本物のフルーツを食べているかのような感覚でアイスキャンディを楽しんでほしい」。そう語るのは2代目オーナーの李至菘(リーツーソン)さん。かつて初代が台東県鹿野(ルーイエ)に移り住んだ際、果物農家の苦労を目の当たりにしたという。そこで何かできないかと考え、規格外の果物を市場と同価格で仕入れ、農家の収入と暮らしを支えつつ、商品の開発に勤しんだ。現在は限定品も含めて全12種類が揃う。釈迦頭(しゃかとう/シュガーアップル)味にはあえて種を入れたままにし、スイカ味には甘味をアップさせるべく、台南産の海塩を加えたりしている。他店では見られない特別なフルーツを用いたものもあり、最近は台東県産の高級品種・夏雪マンゴーを用いたものが話題となっている。値段は1本40~80元。

春一枝商行
ツンイーツーサンハン

台北市信義區忠孝東路五段372巷28弄3號(本店) ☎02‒2345‒6617 9:00~18:00 土日休 写真は夏雪マンゴー味や海塩入りスイカ味など。

春一枝商行 ツンイーツーサンハン

文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 106 2022年10月号「&Taipei」に掲載されたものです。


台北在住ライター・コーディネーター 片倉真理

1999年から台北に暮らす。台湾に関する書籍の執筆、製作のほか、雑誌のコーディネートなども手がける。台湾各地を隈なく歩き、料理やスイーツから文化、風俗、歴史まで幅広く取材。著書に『台湾探見』、共著に『台湾旅人地図帳』(共にウェッジ)、『食べる指差し会話帳』(情報センター出版局)など。

instagram.com/marikatakura

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