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スリランカのカレーに香りを添える名脇役、パンダンリーフ。アジア植物紀行。写真と文:堀江麗(蒸留家)#2October 14, 2026
スリランカを訪れたのは、アーユルヴェーダとスリランカカレーの達人、ディラーニさんに会うためだった。東京・深川でカレー屋と蒸留所を営む知人に紹介してもらい、現地の家に3週間弱ほど滞在させてもらった。
滞在して驚いたのは、暮らしと植物との距離の近さだった。ディラーニさんの家にも、お隣の家にも、ちょっとした薬草園のような小さな森がある。

モリンガ、カレーリーフ、ターメリック、パンダンリーフ、ココナッツ......。毎日、その日に庭からとってきた新鮮な薬草を使って、料理を組み立てていく。冷蔵庫の中の食材ではなく、庭の植物を採ることから始まる献立づくり。仕込みに同行し、薬草の使い方やココナッツの割り方を教えてもらった。
なかでも印象に残っているのが、パンダンリーフ。バニラに似た甘い花のような香りで、「東洋のバニラ」とも言われる。青々しい草の香りとトロピカルな甘さが混ざった独特の風味だ。スリランカではカレーの煮込みにそのまま数枚くべるのはもちろん、ご飯を炊く時にもこの葉を加える。炊きあがると、ココナッツの甘い香りと混ざり合って、部屋中に香りが漂っていく。主役を張るスパイスではないけれど、いなければ料理全体の輪郭がぼやけてしまう。まさに、香りを添える名脇役だ。

パンダンリーフは、料理だけでなくアーユルヴェーダでも使われる。伝統的には、体の痛みをやわらげる湿布のように葉を使ったり、香りを吸い込むことで気持ちを落ち着かせたり、さまざまな方法で日常に寄り添ってきた。体調に合わせてハーブを使い分ける感覚が、暮らしの中に自然と組み込まれている。食べるものと、癒すものの境目が、この国にはほとんどない。スリランカの台所を思い出すたび、植物はもっと身近な存在であっていいと感じる。庭の植物に手を伸ばすように気軽に付き合えたら、暮らしはずっと豊かになるはずだ。
蒸留家 堀江 麗





























