小林エリカの文房具トラベラー
カレンダー小林エリカの文房具トラベラーvol.25February 15, 2022
かつて私がまだ幼かった頃、我が家のトイレには毎年、誰が買っていたのか必ず『御教訓カレンダー』(←教訓パロディーがテンコ盛りになっている品です)が掲げられていて、三日坊主めくり形式でカレンダーを捲っては笑い転げるのが楽しみだった。
ところで、実家ってなんでトイレにカレンダーが貼ってあるのでしょう(時折更にそこに世界地図や国旗が加わる)!? それ台所とかリビングで良いのでは、と疑問が湧かなくもないのですが、トイレの時間さえ無駄にしない向学心の表れなのか!?
しかし友人の家や、居酒屋を訪れ、そのトイレにカレンダーを見つけた時の奇妙な安心感、それが私は結構嫌いじゃない。貼られているカレンダーは大概、世界遺産とか、可愛い猫ちゃんだったりして(居酒屋だと時折更にそこにピースボート世界一周ポスターが加わる)それもまた和む。
というわけで、ゆく年くる年、新年に向けてカレンダーの準備は欠かせない。実家を出て以降、私は未だトイレにカレンダーを設置したことはないのだが、いつその境地へ足を踏み出すべきか。
edit : Kisae Nomura
※この記事は、No.26 2016年 2月号「&STATIONERY」に掲載されたものです。
作家・マンガ家 小林 エリカ
シャーロック・ホームズ翻訳家の父と練馬区ヴィクトリア町育ちの四姉妹を描いた『最後の挨拶 His Last Bow』(講談社)発売中。2021年夏、はじめての絵本『わたしは しなない おんなのこ』(岩崎書店)が発売。