小林エリカの文房具トラベラー vol.20「セクシーな黒」 – &STATIONERY | 小林エリカの文房具トラベラー | & Premium (アンド プレミアム)

小林エリカの文房具トラベラー

&STATIONERY / December 21, 2021 小林エリカの文房具トラベラー vol.20「セクシーな黒」

小林エリカ 文房具トラベラー
小林エリカ 文房具 トラベラー イラスト セクシーな黒

 黒ほどセクシーな色は無い。墨の濃淡に痺れ、マンガのベタ塗りに悶える私でありますが、北欧の黒はまた格別だ。白夜の淡い光の中でその黒が映えることといったら! 先日バルト海の船旅へ出かけてきたのだが、コペンハーゲンも、オスロも、ストックホルムも、どの街も9時を過ぎても仄かに明るく太陽は沈まない。そんな夜に、それはそれは黒が似合うのよ。金色の髪の女の子たちが穿いているジーンズ、大きな窓の手前に置かれたレザーの椅子、木製のテーブルや壁、安ホテルのランプシェードまで、びしっと黒がきまって映える。
 勿論私がそこで惚れ惚れしながら黒い文房具に手を伸ばしたのは言うまでもない。しかしながら、私がもっともセクシーと考え購入して帰った黒革にゴールドのジッパーのポーチが、日本に戻った途端ヤンキー呼ばわりされたのには一抹の不安を隠しきれない。まさかこの文房具たちも……。北欧から持ち帰ったばかりのセクシーな黒を恐る恐るテーブルの上に広げてみる、異邦人な私。もしもこれをヤンキーと言うならば、それはきっと太陽が眩しすぎるから!

左/イェーテボリ美術館にて、デンマークの巨匠Arne Jacobsenデザインのアルファベットカード。TravellerのTを。右上/コペンハーゲンの画材店で見つけた荷物札。右下/ヘルシンキの美術館Kiasmaで巡回中のロバート・メイプルソープ展のノート!
左/イェーテボリ美術館にて、デンマークの巨匠Arne Jacobsenデザインのアルファベットカード。TravellerのTを。右上/コペンハーゲンの画材店で見つけた荷物札。右下/ヘルシンキの美術館Kiasmaで巡回中のロバート・メイプルソープ展のノート!

edit : Kisae Nomura
※この記事は、No.21 2015年 9月号「&STATIONERY」に掲載されたものです。


作家・マンガ家 小林 エリカ

シャーロック・ホームズ翻訳家の父と練馬区ヴィクトリア町育ちの四姉妹を描いた『最後の挨拶 His Last Bow』(講談社)発売中。2021年夏、はじめての絵本『わたしは しなない おんなのこ』(岩崎書店)が発売。
Latest Issue家で使う、飾る、美しいもの。2022.05.20 — 880円