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Book 91 / November 10, 2017 『多毛留 おとなになれなかった弟たちに…』米倉斉加年 著(偕成社文庫) 選・文/Readin’ Writin’ BOOK STORE

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3年前、80歳で亡くなった著者の葬儀に参列して献花した。面識はないが、国を超えた生き方を貫いた姿勢に畏怖したからだった。1980年代、米倉さんは朝鮮の民族衣装を着てテレビCMに出演した。いじめられて帰ってきた子どもが「うちは朝鮮人なの?」と尋ねると、「そうだ、朝鮮人だ。朝鮮人で何が悪い? と言っておけ」と答えたという。否定は差別につながる。人種や民族は選べない。生まれ育った土地が古里なのだ。本書は絵本作家としても数々の作品を残した俳優の代表作に位置付けられている。


Book 90 / November 03, 2017 『身体の零度 何が近代を成立させたか』三浦雅士 著(講談社選書メチエ) 選・文/Readin’ Writin’ BOOK STORE

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19世紀後半、明治政府は西欧列強に対抗すべく、行進も満足にできない農民の身体を近代的な兵士の身体に変えていこうとした。身体の近代化によって従来の身体所作は失われたが、21世紀の今、バレエやスポーツで世界と肩を並べる日本選手が数多く現れている。私たちの身体は江戸時代までの身体ではない。その過程を本書は西欧の事例を紹介しながら「動作」「軍隊」「体育」「舞踊」などのテーマに分けて説いている。「伝統と断絶」(武智鉄二著、風塵社)は併せて読んでほしい一冊だ。


Book 89 / October 27, 2017 『増補 オフサイドはなぜ反則か』中村敏雄 著(平凡社ライブラリー) 選・文/Readin’ Writin’ BOOK STORE

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オフサイドはなぜ反則なのか。サイドとは何か。この問いにサッカーの本田圭佑やラグビーの五郎丸歩は答えられるだろうか。同じ問いをスポーツ記者にも投げかけたい。この本に出合ったのは新聞社の運動部でラグビーを担当していた約20年前だった。好奇心を刺激された。スポーツ・ルール学を提唱した著者はさまざまな競技のルールの成り立ちを研究した。そして、時代の価値観や社会の状況とルールが無縁ではないことを知る。ルールは永久不変ではなく、時代とともに変わっていくものなのだ。


Book 88 / October 20, 2017 『コーヒー・ハウス 18世紀ロンドン、都市の生活史』小林章夫 著(講談社学術文庫) 選・文/Readin’ Writin’ BOOK STORE

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17世紀半ば英国に誕生したコーヒー・ハウスは情報発信の基地だった。出入りしたのは政治家、商人、文学者、ジャーナリストたち。インターネットどころか電話もない時代、最新の情報は人から人に直接伝えられ、政策立案や商売に生かされた。情報をまとめた新聞や雑誌を通して市民もその恩恵に預かった。コーヒー・ハウスは人と人をつなぐメディア(媒介)の機能を果たしていた。メディアとしての本屋を目指す『Readin’ Writin’』は本を売るだけでなく、「21世紀のコーヒー・ハウス」でありたい。


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元新聞記者の店主が東京の浅草・田原町で営む本屋。「長く読み継がれてきた本、読み継がれて欲しい本」を手渡すことをモットーに掲げている。
http://readinwritin.net/ 東京都台東区寿2-4-7/TEL03-6321-7798