Music

November 05, 2021 土曜の朝と日曜の夜の音楽。 今月の選曲家/角銅真実 vol.1

November.05 – November.11, 2021

Saturday Morning

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Title.
Vaughan Williams: The Lark Ascending
Artist.
Iona Brown, Academy Of St. Martin In The Fields, Sir Neville Marriner
好きなものは? と聞かれてまず、最初に思い浮かべるのが朝です。
暗い空の向こうからやってきた日の光が身体にしみこんでゆくのを感じるとき、一番親しい誰かにやっと会えたような……心の底から嬉しい気持ちになります。
この時間を瓶に詰めて持ち歩けたら! といつも思うのですが、今回はそんな朝のにおいがしてきそうな静かな冒頭から始まる、ネヴィル・マリナー指揮のヴォーン・ウィリアムズ「The Lark Ascending」を選んでみました。
バイオリンのアイオナ・ブラウンが演奏するひばりの声は、本当の鳥たちも一緒に囀ってしまいそうです。
アルバム『Vaughan Williams: Tallis Fantasia; Fantasia On Greensleeves; The Lark Ascending etc.』収録。

Sunday Night

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Title.
Nocturne Africain
Artist.
Bernard Fort
夜にベルナール・フォールのフィールドレコーディングを寝そべって聴くのはとても楽しいです。明かりを少し暗くして目を瞑って聴いていると、あたかも彼が見つけたそのフィールドの中に私もいるような気がしてきます。
彼の作品の中でも特にお気に入りは、『Nocturnes Du Monde – Nocturnal Concerts Of The World』(世界の夜のコンサート)。
耳元に次々に遊びにくる見知らぬ生き物たち、遠くから少しずつ近づいてくる雷鳴(しかもすぐ近くに落ちてきたりします!)、いつまでも鳴き続けたそうな蝉、見たこともない模様をしていそうな蛙たちの賑やかな合唱。
聴き終わった後は、現実世界に戻ってきたはずなのに自分の部屋がまるで見知らぬ場所のように思えてしまいます。
脳が困惑するその余韻も含めて大好きな一枚。
アルバム『Nocturnes Du Monde – Nocturnal Concerts Of The World』収録。




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音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場し、土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする人気連載をまとめた「&Music」シリーズの第2弾。 小西康陽、青葉市子、七尾旅人、長田佳子、テイ・トウワ、中嶋朋子……、 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全200曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付きです。 詳しくはこちら


音楽家、打楽器奏者 角銅真実

長崎県生まれ。マリンバをはじめとする様々な打楽器、自身の声、言葉、身の回りのものを用いて、自由な表現活動を展開している。自身のソロ以外にバンドceroをはじめ様々なアーティストのライブサポート、レコーディングに携わるほか、映画、舞台、ダンスやインスタレーション作品への楽曲提供、音楽制作を行っている。2020年1月、初めて「うた」にフォーカスしたアルバム『oar』(ユニバーサルミュージック)を発表。 Profile photo : Tatsuya Hirota
Latest Issue住まいのカタチと、暮らし方。2022.07.20 — 880円