長田佳子の季節のハーブを愉しむお菓子。
ブランチに食べたい
「アップルミントとシャインマスカットのフォカッチャ」 長田佳子の季節のハーブを愉しむお菓子 vol.31October 15, 2022
自然からのいただきものであるハーブの力を取り入れて、心と体に優しく寄り添う「レメディ」のようなお菓子を作る〈foodremedies〉として活動する菓子研究家の長田佳子さん。砂糖にはない甘さやほのかに感じる苦味、鼻をくすぐるいい香り——。ハーブはそのときの心と体の状態によって、五感で感じ取るものが繊細に変化する奥深さを秘めた暮らしに役立つ植物です。そんな季節のハーブを使った長田さんオリジナルのお菓子のレシピを紹介するこの連載。第31回は「アップルミントとシャインマスカットのフォカッチャ」をお届けします。
This Month's Herbal Sweets
「アップルミントとシャインマスカットのフォカッチャ」

こねずに作れる、スイーツフォカッチャ。
「パン作り」と聞くと、こねたり、のばしたり、力と技術が必要に思う人も多いと思います。それゆえに、実際に自分で作ってみようと思う気持ちが薄くなり、気後れしてしまう人もいるでしょう。
ですが、今回紹介する「アップルミントとシャインマスカットのフォカッチャ」は、こねずに作ることができるのでイメージしているよりもきっと簡単なはず。
生地作りの材料には中力粉を選んで。そうすると、しっとりとした食感の生地を導き出すことができます。生地の発酵は1時間40分かかりますが、家事や趣味の時間を過ごしている間にゆるやかに進められ、日常のリズムのなかで焼き上げられます。ちなみに発酵は、室温28〜30℃くらいの暖かい状態で作業するのがベター。
「フォカッチャ」とは「火で焼いたもの」を意味しているイタリアのジェノバ発祥の伝統的なテーブルパン。前菜や料理の付け合わせとして、オリーブオイルをつけていただくことが多いパンですが、お菓子として楽しめるような工夫を巡らしました。
例えば、旬の終わりにさしかかるシャインマスカットを具材に使ってみるとか。ふんわり、もちもちとしたパン生地にみずみずしいマスカットを生地の表面に埋め込んでみると、味わいの面白さだけでなく、食感の楽しさもしみじみ感じられると思います。そして、爽やかかつフルーティな香りをそっと漂わせるアップルミントも添えてみましょう。さらに甘さが欲しい人は、シナモンをかけてみても。
おやつはもちろん、ゆったりとブランチを愉しみたいときにぴったりなメニューです。噛むほどに口の中に風味と香りが広がり、幸せな気分に浸れると思います。

シソ科、ハッカ属の多年草。名前の如く、リンゴとミントを混ぜたような甘く、爽やかな香りが特徴。日当たりと水はけが良い場所を好み、ハーブのなかでも比較的、育てやすいといわれています。また、口の中の菌を減らす作用があるといわれていて、口臭を抑える効果を期待できます。アップルミントティーにして飲んだり、うがいに使ったりしてみても。
レシピ 2〜3人分
・中力粉190g
・きび砂糖10g
・ドライイースト2.5〜3g
・ぬるま湯150ml
・塩2g
・オリーブオイル10ml
・はちみつ10g〜(好みの分量で)
・アップルミントひと枝分程度
・シャインマスカット適量
How to cook

photo:Hiroko Matsubara edit & text:Seika Yajima
ハーブ:まるふく農園 器:ヨーロッパ、日本アンティーク
菓子研究家 長田 佳子
