長田佳子の季節のハーブを愉しむお菓子。
キラキラ輝くお茶請け菓子「赤紫蘇の琥珀糖」 長田佳子の季節のハーブを愉しむお菓子 vol.30September 24, 2022
自然からのいただきものであるハーブの力を取り入れて、心と体に優しく寄り添う「レメディ」のようなお菓子を作る〈foodremedies〉として活動する菓子研究家の長田佳子さん。砂糖にはない甘さやほのかに感じる苦味、鼻をくすぐるいい香り——。ハーブはそのときの心と体の状態によって、五感で感じ取るものが繊細に変化する奥深さを秘めた暮らしに役立つ植物です。そんな季節のハーブを使った長田さんオリジナルのお菓子のレシピを紹介するこの連載。第30回は「赤紫蘇の琥珀糖」をお届けします。
This Month's Herbal Sweets
「赤紫蘇の琥珀糖」
見た目、グニャリとした食感、爽やかな香りを静かに愉しむ。
透明のクリスタルのような光が当たると、キラキラと反射する様が美しい、琥珀糖。ずっと眺めていても飽きない、目にも楽しい和菓子です。ふだん、和菓子作りに慣れていなくても、まったく問題がないくらいにシンプルな工程で作ることができます。まずは、煮て溶かした寒天にグラニュー糖を加えて混ぜるところから。具材は、古来“和のハーブ”として親しまれてきた、赤紫蘇を選んでみましょう。梅干しを漬けるときや、シロップやジュースを作るときに使う人が多いかもしれませんが、実は琥珀糖と相性がいいんです。グニャリとした琥珀糖の食感に赤紫蘇のたしかな歯ごたえが重なる瞬間は、なんだか心地よくてクセになりそうです。そして、鼻腔をくすぐる、独特の華やかかつ爽やかな芳香も。ふんわり広がっていくひとときにうっとりします。
もしも赤紫蘇が苦手、という人がいたら材料にミントやエディブルフラワーを使ってみるのもおすすめ。はたまた、趣を変えてハーブパウダー、ハイビスカスパウダー、バタフライピーパウダーを使って、色の映り方を愉しんでみても、風情があります。「どんな色になるのだろう?」と実験するようにお菓子作りにトライすると、新しい景色が広がって、自分にしか感じられない、特別なときめきを知ることができるはず。
琥珀糖はオーブンシートの上でひっくり返しながら数日間乾かすと、グニャリとした食感からシャリシャリとした食感に変化します。作り方に慣れてきたら、そんな“実験”を試みるのもまた味わい深いもの。
ゆっくりと噛み締めながらいただくのがふさわしい琥珀糖。今年の夏の思い出をしみじみと振り返るお茶時間のお茶請けにしてみてはいかが。
レシピ 4〜5人分
・グラニュー糖150g
・水100g
・粉寒天3g
・赤紫蘇 葉のみ5~8g
・アニスパウダー ひとふり
How to cook
photo:Hiroko Matsubara edit & text:Seika Yajima
器:ヨーロッパアンティーク