料理家・冷水希三子が検証。理論で選ぶ、揃えるべき道具たち。
05.強さと繊細さのあるおろし金。料理家・冷水希三子が検証。理論で選ぶ、揃えるべき道具たち。May 18, 2022
2022年5月11日発売の特別編集MOOK「&Kitchen/台所の工夫と、道具選び」。台所と道具にまつわるコンテンツをまとめた1冊から、一生付き合える調理道具について、料理家・冷水希三子さんに検証して選んでもらいました。
刃の鋭さと向きが風味を左右する肝。
大根おろしやおろし生姜など、使うおろし金によってその風味や香りは劇的に変わります。例えば大根は、しっかりと立った鋭い刃でおろすと細胞が壊れません。水と繊維が分離せず、時間をおいても水分を含んだ、ふんわりした仕上がりに。切れ味が悪いおろし金は食材の細胞をすり潰してしまい、水分が抜けてパサパサになりがち。鋭さに加えて注目したいのが刃の形状。すべての刃が同じ方向を向いているものだと食材をくるくる回しておろさなくてはいけませんが、並びが不規則なものなら一気におろせます。さらに大根など大きな野菜でもストレスなく使える大きめサイズなら、短時間でおろせて、風味も損なわれません。
検証 匂い移りに注意して。
おろし金は生姜やニンニクなど香りの強い食材を使うことが多い道具。プラスチックより銅やステンレスなど匂い移りしにくい素材のものを。銅は抗菌作用もあっておすすめ。
熟練の職人が手仕事で目を立てたおろし金。表と裏で目の粗さが違い、粗い目は大根など、細かい目は生姜などの薬味に使うと香りが立つ。目立て直し修理可能(有料)。銅 卸金 No.10 ¥11,550(有次 ☎075−221−1091)
料理家・冷水希三子が検証。理論で選ぶ、揃えるべき道具たち。
RELIABLE KITCHEN TOOLS
毎日使っている調理道具。デザインに惹かれて買ったものや、親から譲り受けたもの、さまざまな経緯で手元にあると思います。でも、ふとした瞬間に「ちょっと使いづらいな」と思うことはありませんか。それは気のせいではなく、きちんと理由があるんです。その”理由”にじっくり向き合い、”考えて”みる。料理家の冷水希三子さんと、一生付き合える道具を検証、選んでみました。
photo : Kazumasa Harada styling : Kimiko Hiyamizu edit & text : Yuriko Kobayashi