〈御菓子丸〉が一皿で表す、京都、寺社仏閣の風景

古知谷 阿弥陀寺苔筵〈御菓子丸〉が一皿で表す、京都、寺社仏閣の風景 vol.9July 20, 2022

〈御菓子丸〉が一皿で表す、京都、自社仏閣の風景
〈御菓子丸〉が一皿で表す、京都、自社仏閣の風景
京都で和菓子の制作する〈御菓子丸〉が、四季折々の寺社仏閣の風景を、独創的な菓子で表現。京都の風景に思いを馳せたくなる、美しい一皿を紹介します。
古知谷 阿弥陀寺 苔筵 御菓子丸

古知谷 阿弥陀寺
苔筵(こけむしろ)

 

 洛北の観光地・大原のさらに北に位置する古知谷 阿弥陀寺。ここまで向かうバスの本数は少なく、車以外の交通手段では少々厳しいところにあるというのが第一印象だった。阿弥陀寺の開山は1609年。2022年の今でも少々アクセスが悪いということは、当時はもっと山深く、人がなかなか辿り着けなかった場所だと想像できる。弾誓(たんぜい)上人が開基された如法念佛の〝道場〞だったことを知り、妙に納得してしまった。修行僧たちはここで、現代の私たちには知ることのできない思いを念沸に込めていたのだろう。今も観光地然とは程遠い、静けさに充ちた雰囲気があり、わざわざ訪れたい寺の一つとして記憶に残っている。
 道中に生い茂る苔は絨毯のように広がり、人々を迎え入れる敷物にも感じられる印象的なものだった。この苔を再現すべく、漉し餡をメレンゲと合わせて蒸し上げた浮島を、しっとりとした食感に仕上げ、ヨモギで緑の味を出した。さらに苔の下にある石ころの食感をごろごろと炊き上げた小豆で見立てた。この暑い季節にも食べやすく仕上げた浮島は、必然的に苔の食感となった。

江戸初期創建の如法念沸道場。折々の花も美しい。▷『古知谷 阿弥陀寺』京都市左京区大原古知平町 ☎075-744-2048 拝観9時〜16時 1・2月休

INFORMATION

「苔筵」販売について


今回紹介したお菓子「苔筵」を、7月22日(金)より〈御菓子丸〉公式オンラインショップで期間限定で販売します。以下2回の受注、発送を予定しています。

①7月22日(金)20時〜受注分→7月29日(金)発送
②7月23日(土)20時〜受注分→7月30日(土)発送
*ともに無くなり次第終了。

また、8月にも受注販売を予定。ぜひ実際にお菓子を味わいながら、京都のいまに思いを馳せてみてください。詳しくは下のボタンから。

*販売日時は変更になる場合がございます。

photo : Yoshiko Watanabe
*『アンドプレミアム』2022年9月号より。


和菓子作家 杉山早陽子

1983年三重県生まれ。老舗和菓子店での修業を経て、2006年から和菓子ユニット〈日菓〉として活躍。2014年から〈御菓子丸〉を主宰。

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