京都さんぽの定番&寄り道スポットガイド
『出町ふたば』での行列中に考える、次の行き先。京都さんぽの定番と寄り道ガイド③March 07, 2024
本誌連載「&Kyoto」でおなじみ、現地在住のライター、コーディネーターの大和まこさんが案内する、京都旅で訪れたい14の定番と28の寄り道スポット。ここでは、『出町ふたば』と周辺の寄り道スポットを紹介します。
定番③ 出町ふたば
きめ細かな餅と、ほんのりした塩気の赤えんどう、すっきりした後味のこし餡。三位一体の豆餅は、まさに名代の肩書がふさわしい。知名度は全国区になり、百貨店にも並ぶようになっても支店を作らないのは、あくまでも地元と共にある餅屋であるという姿勢ゆえ。作られていく様子が外からうかがえるのも店で買う醍醐味だ。
▷京都市上京区出町通今出川上ル青龍町236 ☎075−231−1658 8:30∼17:30 火、第4水休(祝日の場合営業、翌日休)
豆餅を手に入れた後の、選択肢も充実する界隈。
京都駅からバスに揺られて30分の出町柳界隈。鴨川デルタに京都を感じながら川を眺めてもいいし、下鴨神社の糺の森を歩いてもいい。活気のある出町桝形商店街もある。そしてなにより、ここには『出町ふたば』がある。もはや行列は当たり前。前日までに予約すれば並ばず済む裏技もあるけれど、季節の味は見てから選びたいし、ということで結局は行列に並ぶことになるのだ。頭の中で、豆餅とあれとこれとと妄想を膨らませつつ待てば、意外と早く順番が回ってくる(気がする)。無事に手に入れたら鴨川で出来たてを頬張るのもいいし、すっかり定番のカフェ『ハ ラ』
や、『饂飩店よこやま』でひと息つくのもいい過ごし方。その選択肢に加えたいのが鴨川の東にある『クレープリー スリージェ』。名店『ビストロ スリージェ』と空間をシェアする形で、朝と昼だけ営業するクレープリーが2020年から始まっている。
注目すべき店はもうひとつ。李朝喫茶『李青』の鄭玲姫さんが’23年12月に開いたばかりの『ギャラリーすもも』は、韓国のものを中心に国籍も新旧も問わないものが、ぎっしり詰まったギャラリー。鄭さんのセンスを学ぶようなひとときが贅沢で、見逃してはもったいない場所である。
寄り道スポット
illustration : Junichi Koka