小林エリカの文房具トラベラー
THIS IS A Ballpoint PEN小林エリカの文房具トラベラー vol.04「ボールペン」&STATIONERY / July 22, 2021
旅先でボールペンを見つけることほど楽しいことはない。ベッドの枕元、電話の脇にメモパッドと一緒にひっそり置かれたそれが可愛いだけで俄然テンションが上がる。一時期アメリカの安モーテルのボールペンをコレクションしていたこともあったほど。日本の古き良き旅館なんかもイカしたオリジナルボールペンを備えていたりするから気が抜けない。観光地へ行けば土産物屋のご当地ボールペンコーナーは欠かさずチェック、スーパーで袋詰めになったオフィス用は意外と書きやすいのよ、と袋を握りしめ……。いやいや私書くことが仕事ですから、と言い訳を重ねてみても、我が文房具♡精神、一体全体どこから湧きあがり、どこへ向かうのか。宇宙空間でさえ縦横無尽に転がるペン先のボールのごとく、私にとっては極めて偉大な謎である。
しかし、結局のところ、実際に使うボールペンは書いても消せる〈伊東屋〉のオリジナルフリクションボールえんぴつなのよね、な今日この頃。というわけで今回から大きな枠になった文房具トラベラー、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。
edit : Kisae Nomura
※この記事は、『&Premium』No.5 2014年5月号「&STATIONERY」に掲載されたものです。
作家・マンガ家 小林 エリカ
シャーロック・ホームズ翻訳家の父と練馬区ヴィクトリア町育ちの四姉妹を描いた『最後の挨拶 His Last Bow』(講談社)発売中。2021年夏、はじめての絵本『わたしは しなない おんなのこ』(岩崎書店)が発売。