&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート。

新米の季節においしいおむすびを。渡辺有子の料理教室3年目10月October 10, 2026

料理家の渡辺有子さんが先生に、ライターの吉田直子さんが生徒に。本誌で連載中の「&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート」がWebでも読めるようになりました。3年目10月のテーマは、「新米の季節においしいおむすびを」。3つのレシピを紹介します。

新米の季節においしいおむすびを。渡辺有子の料理教室
シラスと青菜、タラコとディル、鮭と青ジソなど、3種類のおむすびで、嬉しい秋の食卓の出来上がり。

新米の季節においしいおむすびを。

先生:秋らしい日が増えて、やっと過ごしやすくなってきましたね。

生徒:食欲もアップで新米のおいしさをかみしめる日々。土鍋でせっせと炊いています。

先生:あら、直子さん立派じゃないの。

生徒:炊飯器が壊れたことがきっかけなのですが、土鍋ご飯にハマってからというもの、私の密かな憧れはおむすび名人なのです。

先生:直子さん、さすがの前振りね。今日の教室ではまさにおむすびを学んでもらおうと思っておりました。コツを知った上で回数を重ねれば、名人も夢じゃありません。

生徒:さっそく教えてください!

先生:ではまず、お米を炊くところから始めましょう。フワッと柔らかく仕上げたいので、私は、おむすびのときは気持ちお水を多めに炊くようにしています。浸水はしっかり。炊けたら蒸らして、一度お皿に広げてください。こうすることでお米に空気を含ませるの。

生徒:メモ、メモ〜ッ。

先生:おいしく作るコツは、ギュッと固めないように「粒と粒に接地面がある」くらいの感覚で軽くにぎることです。手に水と塩をつけ、お米をのせた瞬間から理想の形を目指してリズムよくむすびます。塩は少し強めくらいでちょうど。アシスタントの栗ちゃんも、最近ピタリと塩加減が決まるようになったのよ。何度もにぎってもらった甲斐がありました。

生徒:塩が馴染んだおむすび。ご馳走です。

先生:「タラコとディルの俵むすび」は、ほぐしたタラコとディルの上を転がせば完成。「鮭と青ジソの海苔むすび」は、ほぐした鮭の身、青ジソ、白ゴマ、味噌を和えたものをご飯の上にのせ、さらにご飯をのせてから三角にむすんでいきましょう。

生徒:ご飯で具をサンドイッチにするのか。

先生:「シラスと青菜の黒米むすび」は、浸水時に昆布を入れ、黒米を加えて炊きます。具はカブの葉の塩もみとシラス。炊きたてのお米にふんわり混ぜて丸むすびにします。

生徒:手の上で転がすように形成。ですね!

先生:3種類むすべたところで「沢煮椀」を作りましょう。長ネギ、ゴボウ、人参、絹サヤは細切りに。シイタケは薄切り。エノキはほぐします。豚肉も細切りにして、塩、酒をふり、片栗粉をまぶしましょう。

生徒:具の形を揃えて切るんですね。

先生:カツオ出汁の中で具に火を通し、酒、薄口醤油、塩で味を調えて、最後に絹サヤを入れて白胡椒を挽いたら完成です。クタクタに煮ないのがポイントよ。

生徒:おむすびと沢煮椀。鬼に金棒です。

先生:今日は「根菜の甘酢香り漬け」もつけるわよ〜。サツマイモとカブは切って水にさらし、レンコンは酢水に。これらを蒸してバットに並べたら、カツオ出汁、米酢、きび砂糖、塩、ローリエ、実山椒を入れてひと煮立ちさせた液を注ぎ、味を馴染ませたら出来上がりです。熱々のときに仕込むと浸透圧によって味がよく染みるの。1週間は持ちますよ。

生徒:今日はホッとする回でしたね。

先生:おむすびは食べる人のことを思ってむすぶからおいしくなるの。子どもの頃、私も母の焼きおむすびが大好きで、網で焼いているのを横で待つ時間が嬉しかったのです。私も最初は母のようにいかなくて努力したの。直子さんも今日からがんばってくださいね。

生徒:心もお腹も満たされる教室であります。

左から、シラスと青菜の黒米むすび、タラコとディルの俵むすび、鮭と青ジソの海苔むすび。
左から、シラスと青菜の黒米むすび、タラコとディルの俵むすび、鮭と青ジソの海苔むすび。

1.鮭と青ジソの海苔むすび

鮭と青ジソの海苔むすび | ご飯は平皿に一度広げることで、程よく水分がとび、時間がたってもおいしい。
ご飯は平皿に一度広げることで、程よく水分がとび、時間がたってもおいしい。
鮭と青ジソの海苔むすび | おむすびは「粒と粒に接地面がある」くらいの感覚で軽くにぎるのがコツ。
おむすびは「粒と粒に接地面がある」くらいの感覚で軽くにぎるのがコツ。

    〈材料〉4個分

    米… 1合 
    塩鮭…1/2切 
    青ジソ…2枚 
    白ゴマ…小さじ1
    味噌…小さじ1/4 
    塩…適量 
    焼き海苔… 1と1/3枚

    〈作り方〉
    1.米は洗ってザルにあげ、水気をきって鍋に入れ、同量の水を加え、30分以上浸水させる。蓋をして強めの中火にかけ、ふいたら弱火で12分。火を止めて10分蒸らす。

    2.塩鮭は焼いて、皮と骨を取り除いてほぐす。青ジソはみじん切り。小さなボウルに入れて、白ゴマ、味噌を加えて混ぜておく。

    3.炊きたての1を平皿に広げる。手に水、塩をつけてご飯をのせ、2をのせて、ご飯をかぶせて手の中で転がすように軽く三角にむすぶ。

    4.焼き海苔は、表面を合わせて裏面を遠めの弱火であぶり、おむすびを巻く。

2.シラスと青菜の黒米むすび

シラスと青菜の黒米むすび
炊きたての米とカブの葉とシラスをボウルで混ぜて、平皿に広げてからむすぶ。

    〈材料〉6個分

    米…1合 
    黒米…大さじ2  
    シラス…30g 
    カブの葉…1個分
    塩…適量 
    昆布… 2㎝角1枚

    〈作り方〉
    1.浸水の際に大さじ2の水と黒米と昆布を入れ、あとは右上と同様に米を炊く。

    2.カブの葉は小口切りにし、塩ふたつまみを加えてしんなりしたら、水気をしぼる。ボウルで炊きたての1、カブの葉とシラスを混ぜて平皿に広げる。

    3.手に水と塩を軽くつけて、ふわりと手の中で転がすように丸にむすぶ。

3.タラコとディルの俵むすび

タラコとディルの俵むすび
細かくした具材を表面にまとわすことで、ぐっと華やかなおむすびになる。

    〈材料〉5個分

    米…1合 
    タラコ…2本 
    ディル…2本 
    塩…適量

    〈作り方〉
    1.上と同様に米を炊く。タラコは焼いてほぐす。ディルは柔らかい葉の部分を摘み、タラコと合わせてバットなどに広げる。

    2.炊きたてのご飯を平皿に広げる。手に水、塩をつけて、俵形にむすんでいく。1のバットの上で転がし、表面にタラコとディルをつける。

4.沢煮椀

沢煮椀
沢煮椀 | 素材をすべて同じようなサイズに揃える。ゴボウは酢水にさらしてザルにあげる。
素材をすべて同じようなサイズに揃える。ゴボウは酢水にさらしてザルにあげる。
沢煮椀 | カツオ出汁に絹サヤ以外の野菜を入れて煮る。切って下味をつけた豚肉も加える。
カツオ出汁に絹サヤ以外の野菜を入れて煮る。切って下味をつけた豚肉も加える。

    〈材料〉2〜3人分

    長ネギ…小1/2本 
    ゴボウ…1/3本 
    人参…1/4本 
    シイタケ…1枚 
    絹サヤ…8枚 
    エノキ…1/4株 
    豚ロース(薄切り)…60g 
    カツオ出汁…700㎖ 
    酒…小さじ2  
    薄口醤油…小さじ1  
    塩…適量 
    片栗粉…小さじ1  
    白胡椒…適量

    〈作り方〉
    1.長ネギは長さ半分に切り、細切りにする。ゴボウは皮をこそげ、長さ半分に切り、細切りにして酢水にさらし、ザルにあげる。人参は皮を剥いて細切りにする。シイタケは石づきを取り、薄切りにする。エノキは石づきを切ってほぐす。絹サヤは筋を取り、縦に細切りにする。

    2.豚肉は長さ半分に切り、縦に細切りにし、塩(ひとつまみ)、酒(小さじ1、ともに分量外)をふり、片栗粉をまぶしておく。

    3.鍋にカツオ出汁を入れてひと煮立ちさせ、絹サヤ以外の野菜を加える。2~3分したら豚肉をほぐしながら加え、火を通す。酒、薄口醤油、塩で味を調える。絹サヤを加え、30秒ほど火を通す。お椀によそい、白胡椒を挽く。

5.根菜の甘酢香り漬け

根菜の甘酢香り漬け
根菜の甘酢香り漬け | コロコロと食べごたえのあるサイズ感に切ることで、根菜のおいしさを味わえる。
コロコロと食べごたえのあるサイズ感に切ることで、根菜のおいしさを味わえる。

    〈材料〉作りやすい分量

    サツマイモ(細め)…150g 
    レンコン…100g 
    カブ…2個 
    カツオ出汁…200㎖ 
    米酢…40㎖ 
    きび砂糖…大さじ1  
    塩…小さじ1/2 
    ローリエ…1枚 
    実山椒…小さじ2/3

    〈作り方〉
    1.サツマイモは長さ4等分、細い部分は縦半分、太い部分は縦4等分に切って、水にさらす。レンコンは皮を剥き、乱切りにして酢水にさらす。カブは茎を3㎝ほど残して皮を剥き、縦4等分に切って水にさらす。

    2.蒸気の上がった蒸し器に、サツマイモを入れて12分、残り5分のところでレンコンとカブも入れて蒸す。

    3.その間に鍋にカツオ出汁、米酢、きび砂糖、塩、ローリエ、実山椒を入れてひと煮立ちさせる。

    4.2の蒸し上がりをバットにのせ、3を熱いうちに注ぐ。1時間以上おいて味を馴染ませる。

新米の季節においしいおむすびを。渡辺有子の料理教室
シイタケやゴボウなど秋野菜たっぷりの沢煮椀と、サツマイモ、レンコン、カブなど根菜の甘酢漬けを副菜に。
渡辺有子

渡辺有子先生

わたなべ・ゆうこ/東京都生まれ。料理家。スタジオ「FOOD FOR THOUGHT」にて、料理教室や食にまつわるイベントを開催。東京・代々木上原と西荻窪で、同名の器店をディレクション。作家ものの器や食まわりの商品を扱う。『料理と私』(晶文社)、『渡辺有子の家庭料理』(主婦と生活社)など著書多数。旬の素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評があり、いつまでも初心者気分でいつづける生徒・吉田直子にも、懇切丁寧に料理を教える。

吉田直子

吉田直子生徒

よしだ・なおこ/東京都生まれ。ライター。冠婚葬祭で使う小物とジュエリーのブランド〈シュオ〉のディレクター、ファッションブランドのプレスを務めるなど、フレキシブルに働く1 児の母。2019年、絵本『こっぷんとかっぷん』(絵・よこやまかんた/若芽舎)を刊行。2020年には蒼井優の著書『今日もかき氷【進化版】』(マガジンハウス)の編集を手がける。渡辺有子の料理教室で毎月記事をまとめているが、いまだに作るよりも食べることを好む。

photo : Wakana Baba text : Naoko Yoshida

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