あの人が大切にしている、暮らしの本。

『エリックサウス』総料理長の稲田俊輔さんが大切にしている、料理の本。『おそうざい十二ヵ月』August 29, 2023

稲田俊輔_おそうざい十二ヵ月_はじめはこの通りの味に作ってみて、二度目から、食べた人の批評をきいて、お塩をたしたり、お砂糖をへらしたり、しょう油をたすとかして、あなたのお家の好きな味にかえてゆくのが、本当だと思います。 「はじめに」より

それぞれの家の味に培われていくレシピ。

実家にあったこの本を子どもの頃から眺めてきていましたが、改めて引き込まれたのは、自分がレシピ本を作るようになってから。世の中の多種多様なレシピ本に埋もれないよう、斬新な視点でアピールしなければという意識が強くあったときにこの言葉にふれて、ああ、本質の部分はこれだ、とハッとしたんです。何度も作るうち、やがてその家庭ならではの味に変化し、定着していく。僕自身、54年前に出版されたこの本のいろんなレシピを長く愛用していて、我が家の味というものができています。半世紀越しに「僕もその通りにやってます!」と、この本に報告できる感覚も面白い。自分のレシピもそんなふうに、時を経てどこかで大事にされていったとしたら、このうえない喜びだなと思います。

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『おそうざい十二ヵ月』著 小島信平 暮しの手帖編集部 (暮しの手帖社)

Shunsuke Inada

稲田俊輔 Shunsuke Inada
料理人、飲食店プロデューサー、『エリックサウス』総料理長。近著に『「エリックサウス」稲田俊輔のおいしい理由。インドカレーのきほん、完全レシピ』(世界文化社)、『食いしん坊のお悩み相談』(リトルモア)。

illustration : Shapre text : Mick Nomura (photopicnic)

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