あの人が大切にしている、暮らしの本。

建築家・吉田愛さんが大切にしている、住まいの本。『建築を気持ちで考える』July 31, 2023

吉田愛 建築を気持ちで考える 幼少期の建築との出合いが時代を超えて在り続けている古い建物や町であったので、建築とは自分で生み出すもの、探し出すものではなくて、すでに自分のすぐそばに存在しており、自分を支え包み込んでくれるものであるという概念が自然と形成されていったのではないかと思います。自分の存在と気持ちとともにあるもの。

気持ちから建築を設計する。それに共感。

ある建築の講評会で堀部安嗣さんが〝建築は長い期間関わるものだから、元気なときも病んでいるときもずっと暮らしていけるか考えなければならない〞というようなことをおっしゃっていました。その言葉が印象に残って、この本を入手。名建築を解説する本はたくさんありますが、気持ちからアプローチした本はなかなかない。どういう人がどういう気持ちで作ったのか、想像も含めて書いてあるんです。数字で設計するのではなく、気持ちが入らなければ感動する建物にはならない。私自身、形を作るのが目的というより、その形にすることで住む人にどういう体験が生まれ、どういう人生になるのか、ということに興味があるので、よりこの本に共感できるのだと思います。

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『建築を気持ちで考える』 著 堀部安嗣 (TOTO出版)

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吉田 愛  Ai Yoshida
建築家。〈SUPPOSE DESIGN OFFICE〉〈絶景不動産〉を谷尻誠と共同主宰。2021年〈etc inc.〉を設立。飲食部門のプロデュースと経営、ゲストハウスのディレクションなど建築を軸に幅広く活動する。

illustration : Shapre text & edit : Wakako Miyake

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