長田佳子の季節のハーブを愉しむお菓子。

食欲がないときの朝食にもいい「ボリジとプラムのデザートサラダ」 長田佳子の季節のハーブを愉しむお菓子 vol.29 August 18, 2022

自然からのいただきものであるハーブの力を取り入れて、心と体に優しく寄り添う「レメディ」のようなお菓子を作る〈foodremedies〉として活動する菓子研究家の長田佳子さん。砂糖にはない甘さやほのかに感じる苦味、鼻をくすぐるいい香り——。ハーブはそのときの心と体の状態によって、五感で感じ取るものが繊細に変化する奥深さを秘めた暮らしに役立つ植物です。そんな季節のハーブを使った長田さんオリジナルのお菓子のレシピを紹介するこの連載。第29回は「ボリジとプラムのデザートサラダ」をお届けします。

This Month's Herbal Sweets

「ボリジとプラムのデザートサラダ」

食欲がないときの朝食にもいい「ボリジとプラムのデザートサラダ」 <i>長田佳子の季節のハーブを愉しむお菓子 vol.29 </i>

プラムの優しい酸味がクセになる、軽やかなデザートサラダ。

暑い日が続くと「いま、何を食べたいか」という、心からの欲求に耳を澄ます余裕がなくなることがあるかもしれません。長時間火を使うメニューを避けるために、気がついたら同じようなメニューを作ってしまっていた、ということもありますよね。そんなときにぜひ、作ってもらいたいのが “真夏の果実”であるプラムとボリジを使ったデザートサラダです。

プラムの果肉には酸味があり、主にリンゴ酸、クエン酸など有機酸が疲労をリカバーするのにも良いと言われています。果肉をそのまま食べると、酸味が強く感じたり、味に飽きてしまったりして、食べる楽しさが半減することも。
簡単な調理を加えるだけで、新たな食感、風味に出合うことができます。

まずは、プラムの皮をむき、小鍋に並べ、バターをのせて20分を目安に火にかけるステップから。そして、灰汁を取りながらボリジを入れ、粗熱を取って冷蔵庫でしばらく冷やし、仕上げにハーブチーズ、ボリジときび砂糖をのせて。プラムの綺麗な黄色がよく映える器をイメージして盛り付けたら完成です。

バターで煮詰めてコクが出たプラム、ハーブチーズの軽やかな塩味、ボリジの花の甘さが溶け合ったふくよかな味わいは、とても上品。作り方は簡単ですが、レストランのメニューの一品をいただくような満足感があります。朝食、おやつ、そして、ワインのお供に。いろんなシーンにフィットする一皿になると思います。

食欲がないときの朝食にもいい「ボリジとプラムのデザートサラダ」 <i>長田佳子の季節のハーブを愉しむお菓子 vol.29 </i>ボリジ<br /><br /> 地中海沿岸に自生するムラサキ科の一年草のハーブ。白や青色の星形の花が咲き、エディブルフラワーとして食べられます。主な成分は、カルシウム、カリウムなど。発汗作用と抗炎症作用に優れているので古くから熱を下げ、血液を浄化する薬草として利用されてきました。ハーブティーにして飲むと、すがすがしい香りを堪能できる。
ボリジ

地中海沿岸に自生するムラサキ科の一年草のハーブ。白や青色の星形の花が咲き、エディブルフラワーとして食べられます。主な成分は、カルシウム、カリウムなど。発汗作用と抗炎症作用に優れているので古くから熱を下げ、血液を浄化する薬草として利用されてきました。ハーブティーにして飲むと、すがすがしい香りを堪能できます。

レシピ 2〜3人分 

・プラム(中)7個
・バター15g
・きび砂糖 10g
・チーズ(ハーブチーズを使用)
・ボリジの花 適量

How to cook

1.プラムをよく洗い小鍋に並べ、バターをのせ蓋をして中火にかける。食欲がないときの朝食にもいい「ボリジとプラムのデザートサラダ」 長田佳子の季節のハーブを愉しむお菓子 vol.29
1.プラムをよく洗い、皮をむき小鍋に並べる。バターをのせ蓋をして中弱火にかける。
2.吹きこぼれてきたら弱火にし、そのまま灰汁を取りながらボリジを入れ、20分を目安に煮る。プラムがクタクタになってきたら粗熱を取り冷蔵庫で冷やす。食欲がないときの朝食にもいい「ボリジとプラムのデザートサラダ」 長田佳子の季節のハーブを愉しむお菓子 vol.29
2.吹きこぼれてきたら弱火にし、そのまま灰汁を取りながらボリジを入れ、20分を目安に煮る。プラムがクタクタになってきたら粗熱を取り冷蔵庫で冷やす。 *途中から蓋を開けると、ある程度水分が飛ばされて良い。
3.皿に盛りチーズを乗せきび砂糖とボリジの花を添えて食べる。 *途中から蓋を開けると、ある程度水分が飛ばされて良い。食欲がないときの朝食にもいい「ボリジとプラムのデザートサラダ」 長田佳子の季節のハーブを愉しむお菓子 vol.29
3.皿に盛りチーズをのせきび砂糖をふりかけボリジの花を添えて食べる。
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photo:Hiroko Matsubara edit & text:Seika Yajima
キッチンクロス提供:FLUFFY AND TENDERLY 器:PETARI、田中直純ほか


菓子研究家 長田 佳子

レストラン、パティスリーなどでの修業を経て、YAECAフード部門「PLAIN BAKERY」でメニュー開発、お菓子の製造を担う。2015年に独立。〈foodremedies〉という屋号でハーブやスパイスなどを使ったまるでアロマが広がるような、体に素直に響くお菓子を研究している。著書に『季節を味わう癒しのお菓子』(扶桑社)、『全粒粉が香る軽やかなお菓子』(文化出版局)などがある。2021年7月より登録制による動画配信のお菓子教室を開催。

foodremedies.jp

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