長田佳子の季節のハーブを愉しむお菓子。
口どけなめらかな「レモンバームのババロア」 長田佳子の季節のハーブを愉しむお菓子 vol.26 May 21, 2022
自然からのいただきものであるハーブの力を取り入れて、心と体に優しく寄り添う「レメディ」のようなお菓子を作る〈foodremedies〉として活動する菓子研究家の長田佳子さん。砂糖にはない甘さやほのかに感じる苦味、鼻をくすぐるいい香り——。ハーブはそのときの心と体の状態によって、五感で感じ取るものが繊細に変化する奥深さを秘めた暮らしに役立つ植物です。そんな季節のハーブを使った長田さんオリジナルのお菓子のレシピを紹介するこの連載。第26回は「レモンバームのババロア」をお届けします。
This Month's Herbal Sweets
「レモンバームのババロア」
レモンのような爽やかな香りが、ババロアの甘さを引き締めてくれる。
ふとしたときに食べたくなるのが、ぷるんとした食感のババロア。弾力のある濃厚なミルクプリンのようお菓子は、卵、牛乳、砂糖、生クリームなど日常で慣れ親しんだ材料を使って作るからか、どこか懐かしさを覚えるミルキーでやさしい味わいです。
卵や牛乳、砂糖などをベースにしたソースにゼラチンと生クリームを加え、冷やし固めたデザートは、派手さはないけれど、大人にも子どもにも愛される日常に溶け込むお菓子のように思います。
「ババロア」という言葉は、フランス語で「バイエルンの」という意味を持ちます。そのルーツを辿ると、19世紀初めから20世紀のドイツ革命まで存在したドイツ南部の王国・バイエルン王国で腕をふるっていたフランス人シェフが、貴族たちのために考案したメニューだった、という逸話に出合います。
こうして人々に長く愛されてきたのは、素朴でありながらもどことなく優雅な気分に浸れる、独特のムードがお菓子に漂っているからなのかもしれません。
そんなシンプルなババロアの味わいを引き締めてくれるのが、レモンのような爽やかな香りを運んでくれるレモンバーム。葉っぱを噛み砕きながら一緒にいただくと軽やかな味わいに変化します。青々とした木々が生き生きと育つ新緑の季節は、このフレッシュな柑橘の香りがより一層五感に響いてくるように感じられます。
時には、好みでフルーツを加えたりして味のバリエーションを楽しんでみても。口どけなめらかなババロア作りに挑戦してみてはいかがでしょう。
レシピ 2〜3人分
・牛乳200ml
・レモンバームの葉3g
・卵黄1/2個
・きび砂糖15g
・ゼラチン2.5g
・生クリーム80ml
・飾り用 レモンバームの葉 適量
How to cook
photo:Hiroko Matsubara edit & text:Seika Yajima
キッチンクロス提供:FLUFFY AND TENDERLY 器(グラス):山野アンダーソン陽子
(小皿):中本純也、その他 フランスアンティーク