花屋『みたて』の「折々に見立てる、京の暮らし」

November 24, 2022 疫病退散を願う「笹かざり」。花屋『みたて』の「折々に見立てる、京の暮らし」 Vol.60

花屋<みたて>に習う植物と歳時記 折々に見立てる 京の暮らし
 

四季折々に迎える歳時記を、京都の花屋『みたて』が植物を通して表現。一つの作品を通して、京都ならではの生活が見えてきます。

 
疫病退散を願う「笹かざり」。 みたて

疫病退散を願う「笹かざり」。

 残念ながら今年の山鉾巡行や神輿渡御は中止となったものの、7月は祇園祭の月だ。貞観11(869)年、全国に疫病が流行した際に当時の国の数と同じ本の鉾を立てて祇園の神を祀り、疫病退散を祈ったことに由来し、以来1150年にわたり受け継がれてきた。多くの人々が集まる神事はなくとも、疫病退散を願う気持ちは例年以上。いくつかの神事は変わらず執り行われ祈りが捧げられることとなっている。
『みたて』が祇園祭に思いを馳せたしつらいの主役は笹。八坂神社に奉納される花傘巡行奉納舞のうち、祇園甲部の演目は「すずめ踊り」。雀と笹が描かれた着物を身につけた舞妓が、笹を手に舞う踊りがモチーフだ。その踊りからイメージを膨らませ、笹を選んだ。漆の折敷の上には植物が化石となった珪化木。そこに色鮮やかな笹を添えている。奥に見えるのは八坂神社で授与される蘇民将来守(すさのおのみこと)。かつて御祭神の素戔嗚尊が旅の道中で一夜の宿を請うたところ、厚くもてなした蘇民将来。喜んだ素戔嗚尊は「蘇民将来子孫也(そみんしょうらいのしそんなり)」と記した護符を持つ者は疫病から免れることを約束したという。その伝えから今も氏子は護符を身につけて祇 園祭に奉仕する。疫病から人々を守ってくれる守りと共に祈りを込めた、夏のしつらいだ。

photo : Kunihiro Fukumori edit & text : Mako Yamato
*『アンドプレミアム』2020年8月号より。


花屋 みたて

和花と花器を扱い、四季の切り取り方を提案する京都・紫竹の花屋。西山隼人・美華夫妻がすべてを分担し営む。

hanaya-mitate.com

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