小林エリカの文房具トラベラー
ラッピングペーパー小林エリカの文房具トラベラー &STATIONERY vol.36June 14, 2022
蔵にしまわれていた古いものを整理していたら、その包み紙というのがなんと戦時中の新聞と、江戸時代の新聞(の役割を果たす手書きの和紙)だった、という話を先日友人から聞いて、興奮した。それは京都のお寺の話だったが、新興住宅地に暮らす我が身とて、何かが新聞や裏紙などに包まれているというシチュエーションには案外出くわすものである。
お雛様を出したりしまったりする時など、ちょっとしたタイムトラベル感を味わえるし、旅先で買った割れ物を包んでもらった折(特にフリーマーケットとか)には紙の裏面を熟読することもしばしばである。お洒落な雑貨屋が用意する英字新聞から、果てはおばあちゃんがチラシで折り紙して作ったゴミ箱にまで、愛おしいし、何が印刷されているのかめっちゃ気になる(私はTシャツにプリントされた文言は何語でも解読を試みたい派の人間です)。
というわけでプレゼントを貰う時にも包む時にも、そこには何かしらのメッセージが含まれているのでは、と超常的なメンタリティーになりがちな秋の日です。
edit : Kisae Nomura
※この記事は、No.37 2017年1月号「&STATIONERY」に掲載されたものです。
作家・マンガ家 小林 エリカ
シャーロック・ホームズ翻訳家の父と練馬区ヴィクトリア町育ちの四姉妹を描いた『最後の挨拶 His Last Bow』(講談社)発売中。2021年夏、はじめての絵本『わたしは しなない おんなのこ』(岩崎書店)が発売。