小林エリカの文房具トラベラー

小林エリカの文房具トラベラー vol.11「ペーパーバック」&STATIONERY / October 05, 2021

小林エリカ 文房具トラベラー
paperbag

 高校時代、バイト代を一生懸命貯めて買った〈アニエスベー〉の店の紙袋を私は後生、大事に大事に畳んでしまってとっていた。そんな私は未だたゆまず紙袋を求め続け、ビニール袋よりも紙袋、革のバッグより紙袋派である。
 紙袋という存在が、果たして文房具というジャンル分けに適切かどうかはさておいて、紙製品ということでどうか我が紙袋愛をお許しいただきたい。
 文房具屋へ行って、紙袋欲しさに文房具を買うという本末転倒もしばしばおこる。それ故、たいした買い物してもないくせに紙袋だけ〈シャネル〉、みたいなメンタリティーもあながち否定できない。だって、紙袋だけでも充分可愛いのだもの。
 旅へ出れば、店の紙袋は当然、キャンディーやチョコレートの包み紙からコーヒーに添えられた砂糖の紙袋まで持って帰るという病に冒されていたが、昨今では砂糖の保存方法に困った挙げ句、現実的な紙袋に絞り込んだコレクションを続けている。
 遂には紙袋欲しさに旅に出る、という本末転倒の日がやってくるのも近かろう。

左上/千駄ヶ谷の〈パピエラボ〉。さすが上質、 3色揃えたい。左下/アルゼンチン土産の紙袋 が可愛すぎ。右/写真家・若木信吾さんの浜松 にある本屋〈BOOKS AND PRINTS〉は、お 父様・欣也さんによる一つずつの手書き!
左上/千駄ヶ谷の〈パピエラボ〉。さすが上質、 3色揃えたい。左下/アルゼンチン土産の紙袋 が可愛すぎ。右/写真家・若木信吾さんの浜松 にある本屋〈BOOKS AND PRINTS〉は、お 父様・欣也さんによる一つずつの手書き!

edit : Kisae Nomura
※この記事は、No.12 2014年12月号「&STATIONERY」に掲載されたものです。


作家・マンガ家 小林 エリカ

シャーロック・ホームズ翻訳家の父と練馬区ヴィクトリア町育ちの四姉妹を描いた『最後の挨拶 His Last Bow』(講談社)発売中。2021年夏、はじめての絵本『わたしは しなない おんなのこ』(岩崎書店)が発売。

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