小林エリカの文房具トラベラー
小林エリカの文房具トラベラー vol.10「色ペン」&STATIONERY / September 28, 2021
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アムステルダムは赤と青、ホーチミンは赤とピンク、京都は緑と黄緑。旅には20色のカラーペンを必ず持って行く。それでスケッチをしてみると、どうしたわけかその街で何度も使う色というやつが存在することに気づく。時にそれが国旗の色だったりするが、かならずしもそうとも限らなくて、街にその色合いが溢れているというわけでもない。なので、どうしてこの色ペンばっかりをよく取り出すのだ?と考える段になって、ようやく私は私なりにその街の色というやつを発見することになる。
水彩画や油絵なんかで完璧な再現を試みるのとは違って、景色を20色だけにわけてみるという作業はなかなか楽しい。雨が降ればペンは滲み、描きすぎればペンが擦れるのもまた良きかな。旅先の文房具屋で子ども向けの色ペンセットを買うのもまた違う配色セットを見つけられるのが好き。
色とりどりのペンを手に、景色の色塗りをしながら口ずさみたいのはアルチュール・ランボー「母音」のソネット。「A は黒、E は白、I は赤、U は緑、O は青」
この世界の色や如何に。
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edit : Kisae Nomura
※この記事は、No.11 2014年11月号「&STATIONERY」に掲載されたものです。
作家・マンガ家 小林 エリカ
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