MUSIC 心地よい音楽を。

土曜の朝と日曜の夜の音楽。 今月の選曲家/UA vol.3June 16, 2023

June.16 – June.22, 2023

Saturday Morning

Title.
Mercury
Artist.
Sufjan Stevens, Nico Muhley, Bryce Dessner, James McAlister
私達は、つい結果を求めてしまいます。絶望したり逃げたり謝ったり、だから優しくなれることも、結果と呼べるかもしれません。今朝の目覚めた心持ちは、昨日の結果かもしれません。結果の別の意味合いには、結実、植物が身を結ぶこと、とありますが、その場合、kekka という音の響きさえ、いくらか違って聴こえます。目に見えて何がしかが現れると理解が楽なゆえ、あいにく数字に右往左往する日々が続いてはいます。楽観するのも悲観するのも、求めるのも拒むのも、元を探ればその根っこは同じもの、思い切って掘り出してみたその出所に、さくらんぼが植わっていたりするかもしれません。愛しい誰かに差し出すために。
アルバム『Planetarium』収録。

Sunday Night

Title.
Nothing Compares 2 U
Artist.
Jimmy Scott
歳を重ねると、死に出くわすことが増えます。以前はあったのに今は無くなってしまった事物についての歌は、星の数ほどあるでしょう。曲中、歌わない鳥が哀しみの表現として使われていますが、確かにそれほど哀れなことはありません。例えば、人が歌わなくなることも想像を絶する異常事態で、この世の終わりが近いことを意味するのでしょう。失った現実を理解しようと思考が過ぎて、心が動かない時、かすかな歌を口ずさめるなら、ほどけ出すことがあります。あの人が、かけがえのない存在であったと、ひたすらに腑に落ちるのなら、弔いの次に言ってやりましょう、今世後永劫出会うことのない、この肌身に骨身、肉塊に。魂の乗り物に。心露わに言ってください。
アルバム『Viva La Tristeza!』収録。



&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場し、土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする人気連載をまとめた「&Music」シリーズの第2弾。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全200曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。

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シンガー UA

1995年にデビュー。「情熱」「悲しみジョニー」「ミルクティー」等のヒット曲を持ち、AJICOやUA×菊地成孔としての活動も行う。2003年にNHK Eテレで放送された「ドレミノテレビ」では、うたのおねえさんとしてレギュラー出演し、翌年に童謡・愛唱歌集『うたううあ』をリリース。これまでにワンマンツアー、フェス等、出演多数。ボーカリストとしてさまざまなアーティストの楽曲にも参加している。 また、初主演の『水の女』や『大日本人』『eatrip』など映画にも出演。朝日新聞デジタル「&w」で野村友里さんとの往復書簡「暮らしの音」を連載、α-STATION「FLAG RADIO」でDJを務めるなど、その活動は多岐に渡る。 2005年より都会を離れ、農的暮らしを実践中。現在は、カナダに居住。2022年には約6年ぶりのCDリリースとなるEP『Are U Romantic?』を発表。ワンマンツアーを大盛況に終えるなど精力的に活動中。

uaua.jp

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