MUSIC 心地よい音楽を。

今月の選曲家 曽我部恵一December 25, 2015

Dec.25 – Dec.31, 2015

Saturday Morning

&Premium the smith
Title.
Hand in Glove
Artist.
THE SMITHS
中学の終わりか高校のはじめの頃だったと思う。ザ・スミスしか聴かない日々があった。どのくらいの期間だったろうか、学校から帰るとすぐステレオの前に座り、レコードに針を落とす。なかでもシングルやラジオセッションなどを集めた編集盤『Hatful Of Hollow』が好きだった(帽子いっぱいの空虚、とはなんて素敵なタイトル!)。スミスは歌詞がすごいと当時は言われていたが、正直その文学性についてはぜんぜんよくわからなかった。硬質にビートを刻むドラムとピックで複雑なメロディを弾くベース、ジョニー・マーのキラキラした雨だれのようなエレキギターのアルペジオ、そこにモリッシーの深い声が重なるとき、ぼくはなんとも言えない解放感を感じた。
アルバム『Hatful of Hollow』収録

Sunday Night

&Premium
Title.
酔いどれ東京ダンスミュージック
Artist.
真黒毛ぼっくす
どっかで聞いたことある曲タイトルと曲調。数秒聴いて、例えばビートルズにあるような既聴感なのだと理解した。シンガー大槻泰永さんの羽ばたけなかった夜の想いが綴られる。語るうちに酒は進み、フォークロックのつもりがダンスミュージック。こんな年の瀬にはそれもいい。大槻さんが歌えば、どんな店でも瞳には最っ高のシャンデリアが映る。飲まなくなって約十年。酒の効き目も忘れてしまった。ぼくのライブを見に来てくれた大槻さんは、3曲目以降、客席でずっと熟睡してた。この人、モテるだろうなと思った。そのとき(寝る前)かけてくれた「ヒュイーッ!!」というかけ声が最高にロックだったね。ノンアルビールで酔いどれ東京ダンスミュージック。年末だしね。
アルバム『酔いどれ東京ダンスミュジック』
収録
&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場し、土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする人気連載をまとめた「&Music」シリーズの第2弾。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全200曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。

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ミュージシャン 曽我部 恵一

1971年8月26日生まれ。香川県出身。1994年、サニーデイ・サービスのボーカリスト/ギタリストとしてデビュー。2001年よりソロでの活動をスタート。インディペンデントレーベル<ROSE RECORDS>主宰。現在サニーデイ・サービスのホールツアー中。

sokabekeiichi.com

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