MUSIC 心地よい音楽を。

ソングライター、ギタリスト 君島大空さんが選ぶ土曜の朝と日曜の夜の音楽。vol.3October 20, 2023

October.20 – October.26, 2023

Saturday Morning

Title.
Save the Phenomenon
Artist.
Fievel Is Glauque
寝起きが悪い。脳が起きて体が起きるまでの間が長い。決してその時間が心地よくて、うつらうつらした世界に揺蕩っているわけではない。単に寝起きが悪い。一瞬で、心身がバランスよく釣り合っている状態に自分を持っていけたらいいなとよく思う。この曲は、起きて超忙しなく部屋の物を押しのけ倒したりしながら、だが全く顔色を変えず、踊るように朝の支度をする為のスイッチを入れてくれるようだ。Fievel Is Glauqueはベルギーのユニット。脱力しまくったスウェディッシュ・ポップ的な質感の演奏の中にAntonio LoureiroやNair Mirabratなどの現代ブラジル音楽を想起させるアレンジ、低体温なボーカルがとても心地よい。品性のある寝坊。
アルバム『Flaming Swords』収録。

Sunday Night

Title.
The Waves Are Not The Ocean
Artist.
Pat Metheny
ジャズギタリスト、Pat Methenyの新作。僕は彼のトリオ編成かソロギターがこよなく好きなのだが、今回はソロギター作品。このアルバムの成り立ちが素敵で、彼が以前録音したっきり忘れていた音源たちが詰まっているドライブを、ツアーの合間の時間に掘り返して紡いでいったものらしい。彼の部屋に招待されたかのようなプライベートな空気感。ギターが好きな少年がひとり楽しそうにゆったりと編んでいく音楽がきらきらと静かに輝いている。僕は偶然にも自分のツアー中、地方のホテルで、急に「メセニー、元気かな?」と気になって調べたらこの作品に出会った。不眠症気味なのだが珍しくよく眠れたことを覚えてる。おやすみ。
アルバム『Dream Box』収録。
&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場し、土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする人気連載をまとめた「&Music」シリーズの第2弾。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全200曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。

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ソングライター、ギタリスト 君島大空

1995年東京都青梅市生まれ。ギタリスト/サウンドプロデュースとして、吉澤嘉代子、中村佳穂、細井徳太郎、坂口喜咲、RYUTist、adieu(上白石萌歌) 、高井息吹、UA、荒谷翔太(yonawo)など様々な音楽家の制作、録音、ライブに参加。2019年「午後の反射光」ep を発表後から本格的にソロ活動を開始。 2019『午後の反射光』(APOLLO SOUNDS)、2020『縫層ep』(APOLLO SOUNDS)、2021『袖の汀ep』(APOLLO SOUNDS)2023『映帶する煙』(1st Album)(APOLLO SOUNDS)『no public sounds』2nd Album(APOLLO SOUNDS)

twitter.com/ohzr_kshm

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