Music

ソングライター、ギタリスト 君島大空さんが選ぶ土曜の朝と日曜の夜の音楽。vol.2October 13, 2023

October.13 – October.19, 2023

Saturday Morning

Title.
I Believe She’s Lying
Artist.
Jon Brion
彼のことを知らない人は多いと思うが、彼が映画 『Ladybird』のスコアを書いた映画音楽家であり、ブラッド・メルドーの『Highway Rider』、フランク・オーシャンの『Blonde』のプロデューサーであると聞けば、急速に彼の存在が近く思える人は多いのではないだろうか? 今回は多彩なキャリアを持つ彼のディスコグラフィーの中で唯一のソロアルバムから。私は『脳内ニューヨーク』という映画のサウンドトラックで彼を知り、繊細な中にも生活感のある粗野な所作が感じられる音選びにとても心惹かれ、経歴を調べていく内にこのアルバムに行き当たった。2001年の作品だがサブスクに登場したのは2022年の丁度今頃。クラスは一緒だけど友達になりきれないまま別れた奴が、21年の時を大股の一歩で超えて、にやにやしながら、いやに親しげに、こちらに会いにきてくれたようなミステリアスな親密さがあった。ギターが好きなんだろうな、やたらに弾かないんだけど、ここぞ!というフレーズの嵌め方と配置が最高なんだなあ。休みの日に予定がなくてもさ、全然元気なくてもさあ、これ聴きながら化粧して、一旦外に出てみようなあ。
アルバム『Meaningless』収録。

Sunday Night

Title.
ミュヲラ
Artist.
幽体コミュニケーションズ
真っ当な人間らしく活動している時間というのがあってだね
毎日あってだね
そんな頼りない時間の幕が落ちると
空がめくれはじめて 後ろから
「案外、高い場所まで来たんだね」
(え誰だろう…………)

線路沿いを歩いてたから、
坂の上に来るはずないんだけど、
帰り道。
急ぐ足を止めて、遠いの町の上空へ目を細めると、
夕暮れに腰掛けて、空の階層をいたずらにライターで燃やしながら
《、、、、、、、見たことのない生き物たちがこちらへ笑っている、、、、、、、、》

……なんだ、? 全然遠いはずなんだけどな、えなに、絶対に目合ってるよね?!
ん、? 。。てかずっと前に会ったことあるよね!?? いや、僕のこと僕よりも知ってる…???
シッ
「ここはうるさい夢かもしれないけど、ここで会えてよかったね」

見たいことのない生き物たちが、新しく、懐かしく、遠くから話しかけてくる。
神隠しにあったまま大人になってしまった子供達に、やたら楽しそうな火遊びを教えている。そこに僕もいた、ずっとそこにいたんだろう。
「きっともうこれ以上遠くなることはないよ」
知らない言葉だったけど何度かそう聴こえた。
きっと夕映えの歌だった。
シングル「ミュヲラ」収録。

&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場し、土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする人気連載をまとめた「&Music」シリーズの第2弾。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全200曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。

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ソングライター、ギタリスト 君島大空

1995年東京都青梅市生まれ。ギタリスト/サウンドプロデュースとして、吉澤嘉代子、中村佳穂、細井徳太郎、坂口喜咲、RYUTist、adieu(上白石萌歌) 、高井息吹、UA、荒谷翔太(yonawo)など様々な音楽家の制作、録音、ライブに参加。2019年「午後の反射光」ep を発表後から本格的にソロ活動を開始。 2019『午後の反射光』(APOLLO SOUNDS)、2020『縫層ep』(APOLLO SOUNDS)、2021『袖の汀ep』(APOLLO SOUNDS)2023『映帶する煙』(1st Album)(APOLLO SOUNDS)『no public sounds』2nd Album(APOLLO SOUNDS)

twitter.com/ohzr_kshm

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