MUSIC 心地よい音楽を。

土曜の朝と日曜の夜の音楽。 今月の選曲家/堀内隆志 vol.4August 27, 2021

August.27 – September.02, 2021

Saturday Morning

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Title.
Fazenda Cena
Artist.
Marisa Monte
去年に引き続き、今年も自由に外出をして夏を満喫することはできませんでしたが、その代わり自宅で音楽を聴く時間が増えました。この夏に一番聴いていたのがマリーザ・モンチの『ポルタス』。約10年ぶりのスタジオ録音作品ということで今か今かと配信日を楽しみにいました。まず目に飛び込んできたのが圧倒的なジャケット。鮮やかな色彩で描かれたブラジルの歌う女神。これはリオを拠点にしている現代画家マルセラ・カントゥアリアによるもの。アルバムはこれまでのマリーザの歩みを回顧できるような雰囲気がある曲がずらりと並び想像以上の傑作でした。その中で土曜の朝に聴くなら「ファゼンダ・セーナ」を選曲します。流れるような3拍子の美しいメロディと歌声。この曲を聴く度に2021年の夏を思い出すことでしょう。
アルバム『Portas』収録。

Sunday Night

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Title.
With No One Else Around
Artist.
Silvia Machete
これまであまり意識してこなかったことで最近気付いたのですが、日曜の夜に聴きたくなる音楽がベッドルーム・ポップというジャンルに位置付けされている曲が多かったのです。このリオデジャネイロ出身のシルヴィア・マシェッチも、その一人でした。元々サーカスやストリート・パフォーマーとしてフランスでキャリアをスタートして、アメリカに渡り芸を磨き、ブラジルに戻ってから音楽活動を始めたというユニークな経歴を持つアーティスト。この「ウィズ・ノー・ワン・エルス・アラウンド」はブラジリアンソウルの父チン・マイアが70年代に歌った曲で、イントロのリズムの拍から見事に世界観に持っていかれます。どこか懐かしくもあり心地良いドリーミーなところが気に入ってます。
アルバム『Rhonda』収録。



&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場し、土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする人気連載をまとめた「&Music」シリーズの第2弾。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全200曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。

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「カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ」マスター、ロースター 堀内隆志

鎌倉の「カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ」のマスター兼ロースター。カフェ業の傍ら、ブラジル音楽関連のコンピレーションの選曲や監修、ラジオ番組でトーク。趣味はコーヒーミル集めとプロレス観戦。著書に『コーヒーと雑貨と音楽と』(NHK出版)、『コーヒーを楽しむ。』(主婦と生活社)等。選曲したアルバムは50枚以上あり、ランブリングレコーズよりリリースされている『鎌倉のカフェから』シリーズはロングセラーを続けている。またFMヨコハマ日曜朝の『SHONAN, by the Sea』でCOFFEE&MUSICというコーナーを2016年より担当。コーヒー淹れて、焙煎して、選曲して、喋っているマスター。

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