MUSIC 心地よい音楽を。

土曜の朝と日曜の夜の音楽。 今月の選曲家/堀内隆志 vol.3August 20, 2021

August.20 – August.26, 2021

Saturday Morning

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Title.
Sunrise
Artist.
Debi Nova
コーヒー豆の買い付けのために生産国に出かけるようになってから、現地の音楽に興味を持つようになりました。音楽に触れるチャンスは農園と農園を巡る移動中の車内で流れるFMかレストランのBGM。スマホのアプリを駆使して気になった音楽をチェックするのは、コーヒーとの出合いと同じくらいワクワクします。嫌気性発酵というここ数年で注目を集めている精製方法の豆を求めコスタリカへ行ったのは2年前の春。首都のサンホセからタラスへ向かう車中で耳にしたのが、コスタリカ出身のデビ・ノヴァの歌声でした。その翌年にリリースしたアルバムに収録されている「サンライズ」は、キラキラした太陽の光とそこら中から聞こえてくるさまざまな種類の鳥の鳴き声が響くコスタリカの朝を思い出させてくれます。
アルバム『3:33』収録。

Sunday Night

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Title.
Cucurrucucú Paloma
Artist.
Gaby Moreno
年間通して温暖な常春の国グアテマラは人気の高いコーヒー生産国です。3年前に訪れた時に、もっとも印象深かったのがコロニアル様式の街並みが残るアンティグア。郷土料理を出すレストランで流れていたのがグアテマラを代表する歌手ギャビー・モレーノのヒット曲でした。最近ではヴァン・ダイク・パークスとのコラボも話題となりましたが、日曜の夜にしみじみ味わいたいのは、この曲です。カエターノ・ヴェローゾが映画『トーク・トゥ・ハー』の中で歌ったことでも知られる「ククルクク・パロマ」。元々は1954年にメキシコで作られた曲でした。ギャビーの歌うこのヴァージョンは、グアテマラのコーヒーのような花の香りと上品な味わい、長く続く余韻が特徴です。
シングル「Cucurrucucú Paloma」収録。



&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場し、土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする人気連載をまとめた「&Music」シリーズの第2弾。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全200曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。

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「カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ」マスター、ロースター 堀内隆志

鎌倉の「カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ」のマスター兼ロースター。カフェ業の傍ら、ブラジル音楽関連のコンピレーションの選曲や監修、ラジオ番組でトーク。趣味はコーヒーミル集めとプロレス観戦。著書に『コーヒーと雑貨と音楽と』(NHK出版)、『コーヒーを楽しむ。』(主婦と生活社)等。選曲したアルバムは50枚以上あり、ランブリングレコーズよりリリースされている『鎌倉のカフェから』シリーズはロングセラーを続けている。またFMヨコハマ日曜朝の『SHONAN, by the Sea』でCOFFEE&MUSICというコーナーを2016年より担当。コーヒー淹れて、焙煎して、選曲して、喋っているマスター。

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