MUSIC 心地よい音楽を。
ベーシスト、作曲家 千葉広樹さんが選ぶ土曜の朝と日曜の夜の音楽。vol.2October 09, 2026
October.9 – October.15
Saturday Morning

土曜の朝は緩やかに騒々しい。
仕事柄、平日と休日の境界線の無い生活をしているので、毎日朝9時くらいに目覚め、ラジオを聴きながらお風呂に入り、筋トレをして、朝ご飯を食べ、コーヒーを飲んで一服する。それから洗濯をしたり掃除機をかけたり、家で仕事があれば作業して、特になければ作曲したり楽器の練習をしたりする。外で仕事があれば入り時間に合わせて少し早めに家を出る、だいたいそんな日常である。平日の世間は通勤や通学の人で溢れ、宅急便の配達員や、ゴミの収集車など、みな足早に賑やかである。ところが土曜日はそれとは違う様子で、一家で車に乗ってどこかに遠出する人や、部活の朝練か練習試合に向かう自転車の学生だったり、これから公園へ向かうであろう子どもたちだったり、散歩中の犬の鳴き声だったり、みな一様に笑顔だったり、どこかのんびりとして穏やかに賑やかだ。とにかく今日が何曜日かも分からないまま、いつものようにルーティンをこなしていると、ふと窓の外の音に耳を傾けた。いつもとは何か様子が違うことに気づく。そうか今日は土曜日なのかと、やっと気づく。そんな浮き足だった外界の喧騒とは裏腹に、優雅にコーヒーをすすっているとはなんとも呑気なものだ。そしてコーヒーのカスをゴミ箱に捨てようと思った瞬間、昨日燃えるゴミを捨て忘れていることに気がついた。そんな騒々しい土曜日にはサム・アミドンの軽快なフィドルバイオリンと、サム・ウィルクスの温かなベースによるこの曲が聴きたくなる。ちょっとした嫌なことも忘れて外に飛び出したくなる。土曜の朝は緩やかに騒々しい。
EP『Froggy – EP』収録。
仕事柄、平日と休日の境界線の無い生活をしているので、毎日朝9時くらいに目覚め、ラジオを聴きながらお風呂に入り、筋トレをして、朝ご飯を食べ、コーヒーを飲んで一服する。それから洗濯をしたり掃除機をかけたり、家で仕事があれば作業して、特になければ作曲したり楽器の練習をしたりする。外で仕事があれば入り時間に合わせて少し早めに家を出る、だいたいそんな日常である。平日の世間は通勤や通学の人で溢れ、宅急便の配達員や、ゴミの収集車など、みな足早に賑やかである。ところが土曜日はそれとは違う様子で、一家で車に乗ってどこかに遠出する人や、部活の朝練か練習試合に向かう自転車の学生だったり、これから公園へ向かうであろう子どもたちだったり、散歩中の犬の鳴き声だったり、みな一様に笑顔だったり、どこかのんびりとして穏やかに賑やかだ。とにかく今日が何曜日かも分からないまま、いつものようにルーティンをこなしていると、ふと窓の外の音に耳を傾けた。いつもとは何か様子が違うことに気づく。そうか今日は土曜日なのかと、やっと気づく。そんな浮き足だった外界の喧騒とは裏腹に、優雅にコーヒーをすすっているとはなんとも呑気なものだ。そしてコーヒーのカスをゴミ箱に捨てようと思った瞬間、昨日燃えるゴミを捨て忘れていることに気がついた。そんな騒々しい土曜日にはサム・アミドンの軽快なフィドルバイオリンと、サム・ウィルクスの温かなベースによるこの曲が聴きたくなる。ちょっとした嫌なことも忘れて外に飛び出したくなる。土曜の朝は緩やかに騒々しい。
EP『Froggy – EP』収録。
Sunday Night

僕は子どもの頃からクラシック音楽オタクで、小学6年生の時にアルノルト・シェーンベルグの「浄夜」を聞いて現代音楽に開眼した。当時はお金が無いからCDはなかなか買えないけど、どうしてもいろんなクラシック音楽を知りたかったから、狂ったようにFMラジオのクラシック番組をカセットテープで片っ端からエアチェック(録音)していた。そんなエアチェックに明け暮れていた高校生の時、武満徹さんの訃報を目にして、様々なメディアで追悼番組が放送されていた。「ノヴェンバー・ステップス」と「弦楽のためのレクイエム」くらいしか聴いたことがなかったから、追悼番組を通してたくさんの武満さんの曲に触れられることができたわけである。そんななか、ひときわ耳を奪われたのが、この「Uninterrupted Rests-1. (邦題:遮られない休息)」という武満さんの初期のピアノ作品で、瀧口修造の同名の詩からインスパイアされて作曲されたそうだ。なんとも言えない悲しげな和声、音の間、そして減衰していく音の響き。ゆっくりと時間が溶けていくような感覚を覚えたことを記憶しています。もしかしたら遮られない休息って、一つの事象が永遠に続いていくような、或いは時間という概念がそもそも無い次元の感覚だったりするのかなと妄想にふけながら、日曜の夜が永遠に続いたら良いのにと思った。
アルバム『Takemitsu: Piano Distance』収録。
アルバム『Takemitsu: Piano Distance』収録。
edit : Seika Yajima
ベーシスト、作曲家 千葉広樹

1981年岩手県盛岡市生まれ。東京在住のベーシスト、作曲家。これまでに数多くのミュージシャンとの共演を重ねているが、クラシック、ジャズのキャリアを経て2017年より本格的にソロ活動をスタート。コントラバスによるクラシカルなサウンドと、電子音によるアトモスフェリックな独自のサウンドスケープを追求している。これまでに4枚のソロアルバムをリリース。
2019年には、東京都現代美術館で行われたファッションブランド〈ミナ ペルホネン〉のファッションショーの音楽を担当。2025年公開の吉田大八監督作品『敵』、2026年には武田真悟監督のホラー映画『祝山』のサウンドトラックを手がける。荒内佑(cero)とのユニット王睘 土竟(かんきょう)、自身のバンドIsolation Music Trioの活動や、蓮沼執太フィル、YOUR SONG IS GOODの吉澤成友、光永渉とのblah bruh、吉田省念、笹倉慎介、岡田拓郎、原摩利彦、Julia Shortreed、角銅真実、渡邊琢磨、古川麦、藤原さくらなどのライヴベーシストでもある。arauchi yu(cero)、優河、Janis Crunch、湯川潮音、cero、Luca Delphi、古川麦などのプロデュースやストリングスアレンジも手がける。音楽サイト「NiEW」にて「デイドリーム・サウンドトラックス~千葉広樹による『映画音楽』案内~」を連載中。
Photo :Tetsuya Yamakawa





























