BOOK 本と言葉。

本屋が届けるベターライフブックス。『柳宗理 エッセイ』柳宗理 著(平凡社)選・文/カモシカ書店 / November 29, 2018

This Month Theme尊敬できる道具を知るための本。

柳宗理

 大学を出て服作りの勉強をしていたときに「ものづくり」とは何か、そしてその向かうべきところがわからなくなった時に柳宗悦の美学に出合い、心酔した。
 柳宗悦から柳宗理への時代というのは手工業から機械工業への抗えない時の圧力によってものづくりが変形、変質していく過程である。どんなに手仕事を尊重しても僕らの生活が手仕事のものだけで成り立つことはもうあり得ない。それほどに僕らは機械工業に深入りした。本書の章「新しい工藝・生きている工藝」で数々の機械工業製品の名品を語ってみせた柳宗理は現代において美を諦めないどころか、さらにもう一歩深め「過去及び現在は未来のためにある」と言い切った。F・アーンスト・シューマッハー『スモールイズビューティフル』と合わせて読みたい。


KAMOSHIKASYOTEN カモシカ書店

文学、音楽、映画、アートなどを中心に選書。自家製のスイーツやドリンクを楽しみながら、本を選ぶ豊かな時間を過ごせる。 大分県大分市中央町2-8-1

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