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選・文 / 本屋プラグ / May 12, 2022 本屋が届けるベターライフブックス。『半日半夜』杉本秀太郎 著 (講談社 文芸文庫)

This Month Theme花を飾り、植物を育てることが楽しくなる本。

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かつて年末のパリの街かどで宿り木を買って以来、冬至、クリスマスには飾らずにはいられなくなったというフランス文学者の杉本秀太郎は、京都に暮らしながら、冬至を控えた頃には時に伏見や彦根まで、宿り木を採りに出掛ける。
「刈り取った宿り木の葉は、茎とともに金色を帯びてますます美しくなる。宿り木の実は真珠のように白くかがやいている。」(八丁平の宿り木)
宿り木は他の樹木の枝や幹に寄生し成長する植物で、欧米ではクリスマスの時期に飾られることが多い。冬でも緑を枯らさないことから生命力の象徴とされ、日本でも長寿につながる縁起の良い木と考えられてきたそう。山歩きの折には、緑のくす玉のような形をした宿り木を探してみるのも、また一興かもしれない。


選・文 / 本屋プラグ / May 05, 2022 本屋が届けるベターライフブックス。『火星の人』 (上) アンディ・ウィアー 著 小野田和子 訳 (早川書房)

This Month Theme花を飾り、植物を育てることが楽しくなる本。

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家庭菜園で、自らが丹精を込めて育てた作物を収穫する喜びは何物にも代えがたい。特にそれが、何一つ草木が育つことのない火星の荒野ならば尚更だろう。
宇宙飛行士のマーク・ワトニーは、有人火星探査のミッション中の事故により、ただ一人、火星に取り残されてしまう。地球から次の探査隊が到着するのは4年後で、火星の居住施設に残された食料は明らかに不足している。エンジニアであり植物学者でもあるマークは生き残りをかけ、食料の中にあった、生のじゃがいもをもとに、実験用に地球から持ち込まれた僅かな土と火星の土を混ぜ、自らの排泄物を肥料に、火星の地でじゃがいも栽培を試みる。
科学としての植物栽培の面白さが味わえるSFだ。


選・文 / 本屋プラグ / April 28, 2022 本屋が届けるベターライフブックス。『桂米朝コレクション (一) 四季折々』桂米朝 著 (ちくま文庫)

This Month Theme花を飾り、植物を育てることが楽しくなる本。

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夏のある日、そそっかしい男が友人の宅に遊びに行くと、部屋の床柱に何やら草が吊るされている。友人曰く、それは蛇含草(じゃがんそう)と呼ばれる、人間を丸呑みにするウワバミの腹薬。人間を丸呑みにしたために腹が張って苦しいウワバミが蛇含草を舐めると、腹の中の人間が溶けて助かる。魔除けにもなるそうで、こうして吊るしているという。
蛇含草は和名をオヘビイチゴといい、田んぼの畔などに生えるバラ科の多年草だが、こうした草花ひとつも、ちょっとした話の種になるのだから面白い。
ちなみに、その友人の宅で餅を食べ過ぎ、腹が苦しくなった男。そこで、分けて貰った蛇含草を帰って食べたところ、「人間のほうがすっかり溶けてしもて、餅が甚平を着てすわってた」というのが落語「蛇含草」のオチ。


選・文 / 本屋プラグ / April 21, 2022 本屋が届けるベターライフブックス。『チューリップの文化史』シーリア・フィッシャー 著 駒木令訳 (原書房)

This Month Theme花を飾り、植物を育てることが楽しくなる本。

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「宝石や芸術作品は金持ちにしか縁がなくても、チューリップはしがない庶民も愛でるものだしな」。
17世紀にオランダで出版された小冊子で、このように書かれたチューリップ。しかし、中央アジア原産のこの花は当時、オランダでは庶民を巻き込む一大ブームを巻き起こしていた。投機目的の取引も加熱し、希少性の高い球根は豪邸が買える金額になったという。
もちろん、異常なチューリップ狂時代は長くは続かず、数年の後に市場は暴落し沈静化するが、以降もヨーロッパの庭園をはじめ、絵画や工芸の分野でも、長く愛され続けているのはご存知の通り。日本でも春の花として親しまれるチューリップの歴史は、一輪の花の見方に、鮮やかな彩りを添える。


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和歌山市万町の小さな本屋。新刊・雑誌・古本・古書・絵本・リトルプレス・ZINEなどを取り扱う。本に纏わるトークイベントや、落語会、音楽イベント等も。和歌山ミニシアター企画共同主催。 最寄り駅は南海電鉄和歌山市駅。
住所:和歌山県和歌山市万町4 ニューリチャードビル 南1F
営業時間12:00〜20:00 (土日は18:00まで)
定休日:水曜

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Latest Issue花を飾る、緑と暮らす。2022.04.20 — 880円