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Ishibiki Public 本と印刷 石引パブリック


選・文 / 本と印刷 石引パブリック / April 11, 2019 本屋が届けるベターライフブックス。『すんだことは すんだこと』ワンダ・ガアグ 著 イラスト、 佐々木マキ 訳(福音館書店)

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自分の畑仕事に不満を漏らし、家の仕事は楽に違いないと思い込んでいたおやじさんが、おかみさんに仕事をとりかえっこしようと言います。次の日おかみさんが畑から帰ってきて見あげる先には、屋根の煙突からロープと牛がぶら下がっている。はて? どうしてそんなことに?
昔話のシンプルなお話にこそ普遍的真実が込められている気がする。そんなことをこれまでたくさんの絵本を子供と一緒に読みながら感じてきました。
「おれのしごとのほうが、おまえさんのよりたいへんだなんて、もうけっしていわないから」。この気づきこそが、家族に必要な普遍的リアル。そして「すんだことは すんだこと」と許すことがいちばん大切なんだ。前向きに、正直に、素直に、おおらかに。こんなふうにやっていけたら夫婦円満に違いない!
(中島日和)


選・文 / 本と印刷 石引パブリック / April 04, 2019 本屋が届けるベターライフブックス。『自分の感受性くらい』茨木のり子 著(花神社)

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身に起こることの捉え方の基準をどこに置くか。戦中戦後の日本を生きてきた茨木のり子さんのすっと透き通った心が感じられる詩集です。
しっかりと自分の心を抱きしめて観察する。解きほぐす。柔らかくなった心で他者に対する想像と優しさを思い出していく。代表作の一部分「自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ」という言葉からは、どんな環境に直面してもどこかに、自分の心を守る工夫や手段は必ず存在しているという強い希望を感じます。他者に翻弄されすぎず、強く優しいふるまいをしていきたいと思う時、いくつになってもお守りとして読み返したい本です。(中村彩香)


選・文 / 本と印刷 石引パブリック / March 28, 2019 本屋が届けるベターライフブックス。『ウォークス 歩くことの精神史』レベッカ・ソルニット 著 東辻 賢治郎 訳(左右社)

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どこかからどこかへ歩いてみる。途中、目に入ってくるものから様々な考えが浮かび、あれこれと思い巡らせるが、移ろっていく風景を眺める行為が「思考」に囚われないように助けてくれるように思う。歩行のリズムは思考のリズムのようでいて、風景を通過するにつれ、少しずつ経験と知恵をもたらしてくれる。
改めて「歩く」という行為を考えてみると、外界と内面とがちょうどいいバランスで調和しながら移ろうことであり、軽やかでとても気持ちのいい関係だ。それはつまり、社会と人との関係でもあると気づけば、「歩く」ことこそが気持ちのいい社会をつくる第一歩なのだとわかる。
「歩く」ことで道ができ、公共空間が生まれ、文化がつくられてきた広大な人類史を解き明かしたこの記録は、生産性指向の時代にこそ必要とされるスタンダードな知恵だと思う。(砂原久美子)


選・文 / 本と印刷 石引パブリック / March 21, 2019 本屋が届けるベターライフブックス。『サザビーズで朝食を─競売人が明かす美とお金の物語』フィリップ・フック 著 中山ゆかり 翻訳 (フィルムアート社)

アートを志す僕にとって悩みは、それを職業として選択することの生活面での不安。日本ではアートとお金をめぐる話は一見後ろめたいこととして捉えられがちだが、世界の巨大な現代アート市場に目を向けると、ギャラリストやキュレーターが作品の資産価値を高めるため惜しまない工夫をし、それが鑑賞者の購買動機を生み、結果アーティストは自らの作品価値を上げるためにさらなる努力する、という好循環があることがわかる。現代アートが市場に広がっていくためにその仕組みがどうあるべきかを考えさせられる、これからのアート界のスタンダードとなるべき一冊。(大栩直也)


Ishibiki Public 本と印刷 石引パブリック

新刊・古本を問わず、アートやカルチャーを中心とした本をセレクト。インクの乗りやかすれがレトロな雰囲気を生む「リソグラフ印刷」も請け負っている。カフェも併設しており、テイクアウトも可能。
石川県金沢市石引2-8-2 山下ビル1F
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