MUSIC 心地よい音楽を。
土曜の朝と日曜の夜の音楽。 今月の選曲家/青葉市子 vol.5November 30, 2018
November.30 – December.06, 2018
Saturday Morning

夢の終わりのまどろみに、静かに鳴っている。起ききってしまう前の磨り硝子のようなひとときに、遠くの誰かが優しく歌っていた。でも起きていないからわからない。ほんとうに水の中のよう。水槽から、たゆたう世界を眺めている、そんな出逢いかたをした一曲です。いま現在も、ちゃんと、起きていながら耳で聴き取ったことはない曲なのだけれど、不思議とずっと、真ん中のほかほかした部分で覚えている曲です。
アルバム『The Waters』収録。
アルバム『The Waters』収録。
Sunday Night

detune.の世界は、外れがはぐれていない、ちっちゃな音の粒も、言の葉のささやきも、みんなまとめて抱っこするような。ジャケットを描かれた西島大介さんの漫画タイトルにもなっている「すべてがちょっとずつ優しい世界」に存在しているよう。なにかを言い切ったり、決めたり、しないし、されない、浮遊する心地よさが、無邪気に、自由に音楽で遊んでいるみたいに感じます。
アルバム『オワルゼンド』収録。
アルバム『オワルゼンド』収録。
音楽家 青葉 市子

2010年にソロデビュー。細野晴臣、坂本龍一、小山田圭吾、U-zhaanとのスタジオ・セッションをCD化した『ラヂヲ』(2013年)や、マヒトゥ・ザ・ピーポーとのユニット"NUUAMM"による『NUUAMM』(2014年)、ビートメーカーSweet Williamとのコラボシングル『からかひ』(2018年)などをリリース。2020年には『&Premium.jp』にて写真家・小林光大の写真とともに、エッセイ「Choe」を連載。2021年から海外公演を開始し、数々の国際音楽フェスティバルにも出演。2025年1月にはデビュー15周年を迎え、約4年ぶりとなる新作『Luminescent Creatures』を2月にリリース。同月下旬から開催された〈Luminescent Creatures World Tour〉は、アジア、ヨーロッパ、北米、南米、オセアニアの五大陸で50公演以上にわたるキャリア最大規模のツアーとなった。2023年には、文芸誌『群像』でエッセイの連載をスタート。そこでのエッセイをまとめた初の書籍『星沙たち、』(講談社)を、2025年5月に刊行した。