台湾スイーツ食べ比べ
台湾の草餅は餡や形のバリエーションが豊富。【&Taipei 台湾スイーツ食べ比べ 】May 16, 2022
タロイモ餡やピーナッツ餡の変わり種もあり。
東門市場にある『富富の正』。30年以上の経験を持つ職人が手がけており、元々は卸専門だったが、4年前から小売りも始めた。ハハコグサを使用した生地には自家製の餡がたっぷりと詰まっている。餡はその日の天気や気温に合わせてレシピを微調整しており、例えば、夏場は食欲が落ちるため、大根餡は胡椒を多めにするなど、工夫を重ねている。餡の種類は全部で8種類。大根餡や小豆餡のほか、濃厚な風味のゴマ餡や、粒々感のあるピーナッツ餡、さらに細かくカットしたタロイモを干しエビと炒めた珍しい餡もある。以前はチョコレート餡を作ったこともあったが、奇抜すぎて失敗。一方でゴマ餡やピーナッツ餡は万人受けする味わいで、すっかり定着している。散策のお供にいかが。
フーフーダーツェン
台北市中正區金山南路一段110巷4弄2號(東門市場内) ☎0986‒638‒586 8:00~13:00(売り切れ次第終了) 月休 1個25元。
東三水街市場で老夫婦が守り抜く昔ながらの味。
名刹・龍山寺近くの市場の中にあり、お供え物になる餅菓子のほか、チマキや大根餅などを販売している。切り盛りするのは80代の老夫婦。妻は小学校卒業後に職人である父親の下で働き始め、その味を受け継ぐため、六十数年前に夫と店を開いた。現在は週4日の営業だが、朝4時から仕込みをするのは変わらない。ヨモギの香りが濃厚で、弾力性もある草餅は一口食べるだけで、いかに丁寧に作られているかがわかる。餡には小豆餡やゴマ餡のほか、大根餡や緑豆餡などもある。大根は日本産を使用し、きめ細かな食感が評判だ。さらに緑豆餡は緑豆を生姜や塩と一緒に炒めたもので、塩気と甘さのバランスが絶妙。「草餅は甘いもの」という固定観念を取り払い、試してみたい。1個20元。
あんくぅぺっ
台北市萬華區三水街70號(東三水街市場内の東56番ブース) ☎02‒2308‒3503 8:00~13:00(売り切れ次第終了) 月水木休ほか火不定休
文/片倉真理 写真/片倉佳史
※この記事は、No. 101 2022年6月号「&Taipei」に掲載されたものです。