長田佳子の季節のハーブを愉しむお菓子。
vol.5 レモングラスのカッサータHerbal Sweets / August 21, 2020
自然からのいただきものであるハーブの力を取り入れて、心と体に優しく寄り添う「レメディ」のようなお菓子を作る〈foodremedies〉として活動する菓子研究家の長田佳子さん。砂糖にはない甘さやほのかに感じる苦味、鼻をくすぐるいい香り——。ハーブはそのときの心と体の状態によって、五感で感じ取るものが繊細に変化する奥深さを秘めた暮らしに役立つ植物です。そんな季節のハーブを使った長田さんオリジナルのお菓子のレシピを紹介するこの連載。第5回は「レモングラスのカッサータ」をお届けします。
This Month's Herbal Sweets
「レモングラスのカッサータ」
楽しい食感とビタースイートな味に心躍る、アイスケーキ。
暑い日が続くと、舌はさっぱり心地よい食感を求めるもの。そんなときは、「レモングラスのカッサータ」を作ってみるのはいかがでしょう? カッサータとは、イタリア・シチリア発祥の伝統的な冷たいスイーツ。本場のレシピは、スポンジ生地を敷いた型にクリーム状のリコッタチーズやたっぷりのナッツとフルーツを入れて流し固めますが、今回はスポンジ生地を作らず、より簡単で夏らしいレシピにアレンジ。レアチーズケーキのようなアイスケーキの中には、レモングラスの爽やかな風味と、さまざまな種類のナッツやドライフルーツが。口の中に運ぶと、アイスの甘さとナッツの香ばしさ、ブランデーのほろ苦さが混ざり合う感じがクセになる、ビタースイートな大人のおやつです。夏の夕暮れ時、ケーキに蜜蝋キャンドルを立てて温かなオレンジ色の炎を見つめていると、無意識の心の緊張も心地よくほどけていくはず。気の置けない人とアイスケーキを囲む時間は、いつも以上に会話を弾ませてくれるかもしれません。
レシピ(セルクル12cm1台分)
・カシューナッツ20g
・ピーカンナッツ20g
・ピスタチオ10g
・カカオニブ5g
・ドライカレンズ15g
・ドライオレンジピール5g
・ドライアプリコット1個
・ブランデー10 ml
・水80ml
・きび砂糖30g
・フレッシュレモングラス4g *香りを強めたい場合は多めに。
・サワークリーム90g
・生クリーム100ml
[下準備]
1.型にセロファンまたはオーブンシートを敷く。
※型に直接流してもいいですが、型から出すときに湯せんで少し表面が崩れます。
2.カシューナッツとピーカンナッツとピスタチオを170℃のオーブンで8 分、
ややこんがりめにローストする。ドライカレンズ、ドライオレンジピール、小さくカットしたドライアプリコットをブランデーに漬ける。
3.シロップを作る。鍋に水ときび砂糖、3cmくらいにカットしたレモングラスを入れ、沸騰したら弱火にして2分ほど煮詰め、火を止め鍋ごと冷ましておく。
How to cook
photo: Hiroko Matsubara edit & text : Seika Yajima
ハーブ:まるふく農園 キッチンクロス提供:FLUFFY AND TENDERLY
器:山野アンダーソン陽子ほか
<プロフィール>
菓子監修 長田佳子〈foodremedies〉
菓子研究家。レストラン、パティスリーなどでの修業を経て、YAECAフード部門「PLAIN BAKERY」でメニュー開発、お菓子の製造を担う。2015年に独立。〈foodremedies〉という屋号でハーブやスパイスなどを使ったまるでアロマが広がるような、体に素直に響くお菓子を研究している。著書に『foodremediesのお菓子』(地球丸)、『全粒粉が香る軽やかなお菓子』(文化出版局)などがある。