長田佳子の季節のハーブを愉しむお菓子。
vol.2 カモミールと苺のクラフティHerbal Sweets / May 24, 2020
自然からのいただきものであるハーブの力を取り入れて、心と体に優しく寄り添う「レメディ」のようなお菓子を作る〈foodremedies〉として活動する菓子研究家の長田佳子さん。砂糖にはない甘さやほのかに感じる苦味、鼻をくすぐるいい香り——。ハーブはそのときの心と体の状態によって、五感で感じ取るものが繊細に変化する奥深さを秘めた暮らしに役立つ植物です。そんな季節のハーブを使った長田さんオリジナルのお菓子のレシピを紹介するこの連載。第2回は「カモミールと苺のクラフティ」をお届けします。
This Month's Herbal Sweets
「カモミールと苺のクラフティ」
初夏の陽だまりのような香りのカモミールとフレッシュな苺を。
家で過ごす時間が多くなり、料理の腕に磨きをかけている方もたくさんいると思います。お菓子作りに慣れている人も初めての人も手作りのお菓子を食べたくなったら、料理の片手間でも作れるような「クラフティ」作りに挑戦してみるのはいかがでしょう?
クラフティとは、フランス中南部の農業や牧畜が盛んなリムーザン地方の素朴な伝統菓子で、果物入りのカスタードプリンのようなもの。本場のものは、タルト型にタルト生地を敷いて中にサクランボを並べ、鶏卵、牛乳、生クリーム、砂糖、小麦粉を混ぜた生地で覆って焼き上げて作るのが主流です。
そんな素朴なお菓子は、砂糖の甘さが際立っていますが、砂糖をきび砂糖に替え、量を減らして体に程よい甘さにアレンジしてみましょう。そして、生地の香りづけには、初夏の陽だまりのような香りのカモミールを。さらに、ほんの少し白胡椒を加えて。やわらかい辛味とスパイシーな香りが、火を通したジュクジュクとした食感の苺とプリンのような滑らかな質感の生地と絡み合い、上品なアクセントと風味をつけてくれます。
その「奥行きのある甘さ」は、お茶はもちろんですが微発泡ワインとも好相性。一息ついて、大人のおやつ時間を楽しみましょう。
レシピ
6cm×10cm ココット2個分
・卵2個
・きび砂糖45g
・薄力粉25g
・牛乳50g
・フレッシュカモミール5g
・生クリーム130g
・苺200g
・白胡椒少々
・バター適量 ※型塗り用
How to cook
photo: Hiroko Matsubara edit & text : Seika Yajima
ハーブ:まるふく農園 キッチンクロス提供:FLUFFY AND TENDERLY 器:中本純也 他
<プロフィール>
菓子監修 長田佳子〈foodremedies〉
菓子研究家。レストラン、パティスリーなどでの修業を経て、YAECAフード部門「PLAIN BAKERY」でメニュー開発、お菓子の製造を担う。2015年に独立。〈foodremedies〉という屋号でハーブやスパイスなどを使ったまるでアロマが広がるような、体に素直に響くお菓子を研究している。著書に『foodremediesのお菓子』(地球丸)、『全粒粉が香る軽やかなお菓子』(文化出版局)などがある。