もの選びのプロが使っている、日用品のスタンダード。

毎日使うご飯茶碗と箸。個性の異なる3 人の目利きが選んだものは?April 21, 2024

パフューマー、ライフスタイルコーディネーターの山藤陽子さん、雑貨コーディネーターのオモムロニ。さん、インテリアスタイリストの遠藤慎也さん。3人のもの選びのプロが使っている、日用品のスタンダードを、おすすめの理由とともに聞きました。

Yamafuji_〈磁今(じこん)〉デザートカップ 〈高野竹工〉極細箸

〈磁今 (じこん) 〉デザートカップ 〈高野竹工〉極細箸
山藤:碗/佐賀県有田の磁器ブランドで、割烹用の中付として作られていた器を、デザートカップに見立てた。白すぎない生成りの釉薬やざらつきのある素材感が和洋の表情を併せ持つ。「ご飯をあまりたくさん食べないので、少しの量で様になるお碗が欲しくて。大きさも重さも持ちやすさも、ちょうどいいのがこれでした」。¥3,080(今村製陶 ☎0955‒43-4363)箸/先端はわずか1.2㎜という繊細さ。燻し煤竹(すすたけ)に摺り漆で仕上げている。「極細の箸はそれだけで意識が変わり、所作も美しくなる気がします」。¥2,530(高野竹工 ☎075‒955‒2868)

Omomuroni._〈AMETSUCHI/芦田尚美〉天地紺屋灰釉( あめつちこうやばいゆう ) ヤマノハ めし碗 〈兵左衛門(ひょうざえもん )〉けずり箸

〈AMETSUCHI/芦田尚美〉天地紺屋灰釉 ( あめつちこうやばいゆう ) ヤマノハ めし碗 〈兵左衛門 (ひょうざえもん ) 〉けずり箸
オモムロニ。:碗/「天地の恵みを食卓に」という思いが込められた「アメツチ」シリーズより。藍染めの工程で必要な灰汁を取った後の灰と磁土を原料とした釉薬を使用。「内側に描かれた山並みに、ご飯をよそった瞬間ドラマが生まれる気がして。ご飯によっても、季節折々の景色のように印象が変わります」。¥3,630(アメツチ/芦田尚美 https://ametsuchi.katalok.ooo)箸/職人の手で一本一本丁寧に削られ、天然漆を塗り重ねて仕上げた箸。「漆がはげたら塗り直してくれるので、ずっと使えます」。¥3,850(兵左衛門 ☎0770‒52‒0193)

Endo_〈東屋(あづまや)〉ご飯茶碗 大 黒飴 〈東屋〉竹箸 元節

〈東屋 (あづまや) 〉ご飯茶碗 大 黒飴 〈東屋〉竹箸 元節
遠藤:碗/三重県伊賀市を中心に作られている伊賀焼。「黒飴」とは釉薬名のことで、釉薬をかけていない高さのある高台も特徴的。「ひとつひとつ厚みや釉薬のかかり具合が違うのも味。黒地に白米がよく映えます」。¥3,740 箸/素材は、肌目や節の入り方が美しく、扇子や茶道具によく使われる真竹。奈良県生駒市の竹細工職人が削り出す。「すっと角が立つように削られた美しい竹箸は、豆や魚の骨も扱いやすい。食べるだけでなく摑むという〝作業〞を楽しむ日用品としての〝道具〞感もいい」。¥1,980(ともに東屋 ☎03‒6433‒7980)

目利き3 人が考える、日用品のスタンダードの定義。

山藤陽子
自分にとっての、〝気持ちよさ〞を追求する。

色や国やジャンルに惑わされずに、自分の琴線に触れるものだけを選ぶこと。私は〝テクスチャーフェチ〞なので、目で見た印象よりも実際に触った感触を大切にします。
Yoko Yamafuji パフューマー、ライフスタイルコーディネーター。「気持ちいいこと」がテーマのブランド〈YORK.〉と、パフュームブランド〈SCENT OF YORK.〉を主宰。


オモムロニ。
作り手の遊び心や、雑貨的楽しみを感じ取る。

他の人が良いと言ったものでも必ず試して納得したものを選ぶ、自分基準。スタンダードだって進化する。アップデートされた新時代のものを見つけたときが最高に嬉しい。
Omomuroni. 雑貨コーディネーター。実用ベースのユーモアとセンスのあるもの選びが好評。著書に『DAILY GIFT BOOK 気持ちが伝わる贈りものアイデア』(文藝春秋)。


遠藤慎也
使うことで生まれる、〝かっこよさ〞を楽しむ。

どんなにかっこよくても、使えないと意味がないと思う。使うことに付随する付加価値が重要で、たとえ手間がかかって面倒でも、その時間を楽しいと思えるかどうかですね。
Shinya Endo インテリアスタイリスト、BOOTSYORK代表。人の温度を感じさせるスタイリングが得意。商業施設のディスプレイや店の内装のコーディネートと幅広く活躍。

photo : Kazumasa Harada styling : Riko Tsuchiya (BOOTSYORK) text : Naomi Yokoyama (cat)

Pick Up おすすめの記事

Latest Issue 最新号

Latest Issuepremium No. 126窓辺に、花と緑を。2024.04.19 — 930円