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辛いとき、大変なときこそ 心を穏やかにしてくれる花を。「花を贈る」ということ。Send FlowersMay 08, 2022

2022年4月20日発売の『&Premium』の特集は「花を飾る、緑と暮らす」。「花を贈る」ことは、自分の気持ちをスムーズに相手に伝えやすくなり、ともすれば言葉以上に雄弁に、その場の雰囲気を一変するような演出をしてくれます。そこで、花の文化に詳しい松山誠さんに、世界中の花を贈るカルチャーについて教えていただきました。

辛いとき、大変なときこそ 心を穏やかにしてくれる花を。松山誠「花を贈る」ということ。Send Flowers

 戦争や震災、人々が困難に直面しているときだからこそ、花を贈ろうとする考えがある。
「例えば、第二次世界大戦が起きたとき、当時駐日アメリカ大使だったジョセフ・C・グルーとその妻は、日本軍による真珠湾攻撃により、大使館に閉じ込められてしまいましたが、多くの日本人の友人から毎日のように食料だけでなく花束が届けられ、心が救われたということを著書に残しています。最近では、ウクライナからポーランドに避難してきた人たちにチューリップの花束を贈るボランティアがいます。一方、関東大震災やサンフランシスコ地震の後も、実は花の需要がものすごく増え、たくさん売れました。東日本大震災のときには、多くの花関係者が避難所に花を贈るということもありました。花は今ある生活を豊かにするだけでなく、苦しいことを忘れさせたり、心を穏やかにしてくれたりするものでもあります。毎日はいらないかもしれないけれど、人生には必要なもの。辛いときこそ花を贈ったり、贈られたりすることで、人々を支えることができ、また自分自身が困難な状況に陥ったときもきっと救ってもらえるはずです」(松山さん)

 

松山 誠 Makoto Matsuyama

国立科学博物館後援会に勤務後、花の世界へ。生産者、仲卸、花店などで勤務。現在はフリーランスのフローリストで花と園芸の歴史研究、編集、執筆に携わる。花業界の生きた歴史を調査する「花のクロノジスト」として活動中。

 

illustration : Yoshifumi Takeda text : Chizuru Atsuta


「花のクロノジスト」 松山 誠

国立科学博物館後援会に勤務後、花の世界へ。生産者、仲卸、花店などで勤務。現在はフリーランスのフローリストで花と園芸の歴史研究、編集、執筆に携わる。花業界の生きた歴史を調査する「花のクロノジスト」として活動中。

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