MUSIC 心地よい音楽を。

土曜の朝と日曜の夜の音楽。 今月の選曲家/butaji vol.4April 28, 2023

April.28 – May.04, 2023

Saturday Morning

Title.
When I Die
Artist.
矢野顕子
当時抱いていた、矢野さんへの勝手なイメージが覆された曲。シンプルなコードに優しい囁き声で「私が死んだ時」について、残された人への気遣いや最後の願いを歌っています。アレンジも気を衒ったものではないのですがパーカッションが効いていて起伏があって、壮大なストーリーを感じ取ります。シチュエーションは一貫して人生最期の瞬間を謳っているのですが、アウトロでなぜかその続きを予期させる。それはギターの歪みの残響のせいか、そこに私が見たいものを見出してるのか分かりませんが、とにかく豊かな要素が包まれたこの時間が私にずっとインスピレーションを与えてくれています。
アルバム『akiko』収録。

Sunday Night

Title.
Half-Asleep
Artist.
Jeff Tweedy
ロックダウン下において自分のスタジオで、2人の息子と一緒に作ったというアルバム。音像なのかテンポなのか、コミュニティと切り離された不思議なエアポケットのような室内感のある響きです。コロナ禍について直接の言及があるわけではないのですが、いまここにいない人について思うが故にその人しか見えないという自分の切実な心情や、大切な人に安心していてほしいというパーソナルな歌詞がその状況下で作られていることに胸が打たれます。不安も多いし感情がたくさん動かされた賑やかな年に、この朴訥としていて切実な曲に救われる思いでした。音楽ってその時間分聞かなきゃ結局何も分からないのですが、対峙すれば社会と切り離されて没頭できる。そうした内省による気持ちの安寧を求めていたのかも知れません。
アルバム『Love Is The King』収録。



&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場し、土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする人気連載をまとめた「&Music」シリーズの第2弾。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全200曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。

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シンガーソングライター butaji

幼少期からクラシック音楽に影響を受けて作曲を始める。コンセプト立てた楽曲制作が特徴で、生音を使ったフォーキーなものから、ソフトシンセによるエレクトロなトラックまで幅広い楽曲制作を得意とする。2013年に自主制作したep「四季」が話題を呼び、1stアルバム『アウトサイド』、2ndアルバム『告白』を発売。2021年に3rdアルバム『RIGHT TIME』を発売し『APPLE VINEGAR – Music Award2022』の大賞を受賞。2022年にはドラマ『エルピスー希望、あるいは災い-』主題歌「Mirage」に作詞、作曲で参加した。ライブでは弾き語りを始めバンド、デュオなどさまざまな形態で活動中。トラックメイカーの荒井優作とのユニット・butasakuとしてもライブ&リリース中。

twitter.com/butaji_tw

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