Music

土曜の朝と日曜の夜の音楽。 今月の選曲家/butaji vol.3April 21, 2023

April.21 – April.27, 2023

Saturday Morning

1200x1200bf-60
Title.
4 Degrees
Artist.
Anohni
幽玄で孤高で、たくさんのインスピレーションを彼女から受けてきました。そのヴォーカルスタイルはもちろんご自身のアイデンティティに強く結びついたもので、簡単に真似できないものなのでずっと憧れています。この曲は改名後のアルバムからの曲で、ディストーションされたビートの上にオーケストラが壮大に展開していきめちゃくちゃ高揚感があります。何度もカタルシスを迎えるようなアレンジなのですが、歌詞の中で示唆されているのは地球の温暖化への問題提起。それが分かりつつも、アレンジとボーカルの力がとにかく突き抜けているので、最後のコーラス「レッツゴー、レッツゴー!」に全身を預けてしまいたくなる気持ちと、その後に続く皮肉的な歌詞を思い出して立ち止まるという逡巡を繰り返すことになる。大切な逡巡です。
アルバム『Hopelessness』収録。

Sunday Night

1200x1200bf-60-2
Title.
Goodnight
Artist.
Philip Owusu
中学生の時、ジャイルス・ピーターソンの深夜ラジオを聴いていたらOwusu & Hannibalの「Le Fox」が流れてきて一瞬で好きになった。Myspaceでメッセージを送ったらPhilip Owusuが返信してくれて「呼吸するように新曲を作っているよ」と言ってくれたのに、その後ユニットでのリリースはなし。そして2013年にソロ名義でリリースされたのがこの曲でした。アルバムの先行配信と告知されていましたが、未だそのアルバムは発売されず。地元コペンハーゲンのアーティストにフィーチャリング参加したり、インスタには娘の写真を紹介していたり、楽しく生活されているならそれももちろん良いなぁと思います。独自のコード感と和声、フレージングがずっと大好きです。アルバムをずっとずっと心待ちにしています。
アルバム『Gilles Peterson Presents: Brownswood Bubblers Ten』収録。



&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場し、土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする人気連載をまとめた「&Music」シリーズの第2弾。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全200曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。

もっと読む


シンガーソングライター butaji

幼少期からクラシック音楽に影響を受けて作曲を始める。コンセプト立てた楽曲制作が特徴で、生音を使ったフォーキーなものから、ソフトシンセによるエレクトロなトラックまで幅広い楽曲制作を得意とする。2013年に自主制作したep「四季」が話題を呼び、1stアルバム『アウトサイド』、2ndアルバム『告白』を発売。2021年に3rdアルバム『RIGHT TIME』を発売し『APPLE VINEGAR – Music Award2022』の大賞を受賞。2022年にはドラマ『エルピスー希望、あるいは災い-』主題歌「Mirage」に作詞、作曲で参加した。ライブでは弾き語りを始めバンド、デュオなどさまざまな形態で活動中。トラックメイカーの荒井優作とのユニット・butasakuとしてもライブ&リリース中。

twitter.com/butaji_tw

Pick Up おすすめの記事

Latest Issue 最新号

Latest Issuepremium No. 126窓辺に、花と緑を。2024.04.19 — 930円