Book

『小さなユリと』黒田三郎(夏葉社)Book 38 / September 30, 2016

This Month Theme日常のささやかな幸せが香る本。

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そのかわいらしい佇まいもふくめて復刊された、詩人・黒田三郎の代表的な詩集。すっと手になじむ小さな本。小さなユリと、オトーチャマのふたりで過ごす夕方の30分。機嫌よく遊んでいたかと思えば泣きわめき、罵りあい、それでも静かに食卓を囲む。小さな洗濯物を干し、風邪の看病をし、手をつないで散歩する。そんな日々の一瞬一瞬が詩人の目によってすくい取られ、言葉になり、読むものの日常に響く。自分はどうだろうか。こんなにていねいに一日を過ごせているだろうか。思わず自問してしまう。小さな相棒はいなくとも。
(鳥居貴彦・選)


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